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国宝-建築|龍吟庵 方丈[京都]

国宝DB-建築

国宝『龍吟庵(竜吟庵)方丈』

東福寺の三代目の住持で、南禅寺の開山(初代住持)もつとめた「大明国師(だいみんこくし)」の住居跡だが、現在の建物は当時の建物ではない。 境内からは骨蔵器に納められた遺骨も見つかっている。 方丈とは、元は僧の生活の場所のことを言ったが、その後は本尊を安置する寺の中心となる場合もある。

竜吟庵(龍吟庵) の方丈は、応仁の乱以前に建てられたもので、現存する中では最古の方丈建築。 入母屋造りに杮葺きで、正面中央は両側に開く折戸だが、その両側の柱間は寝殿造りに使われる蔀戸で、内側は明障子になっている。 書院造りと寝殿造りが折衷された建物である。

龍吟庵の玄関 奥に見える屋根が国宝の『方丈』
方丈から見た南庭「無の庭」

重森三玲の庭

方丈を囲むように3つの庭があり、3つとも1964年に重森三玲によって作られた。 方丈の正面にある南は「無の庭」で白砂が敷き詰められただけの庭。

「無の庭」と「龍の庭」の間は雷を模した竹垣

西の「龍の庭」は、白砂と黒砂で雲海を表し、石組で龍が雲の合間を昇っていく様子を表している。

西庭「龍の庭」尖った石が龍の角を、遠くの石は龍の背びれが見え隠れする様子

東の「不離の庭」は、赤砂に石がいくつか置かれているが、中央の石は大明国師でその近くの2つの石は2頭の犬、そのまわりは狼の群れを表している。 大明国師が子供の頃に狼に襲われたのを2頭の犬が守ったことに基づいて作られた。

東庭「不離の庭」は、犬が狼の群れから子供の大明国師を守っている

この国宝を観るには

龍吟庵は通常は非公開だあ、紅葉の時期11月~12月第一週頃までと、3月14~16日の涅槃会に公開(涅槃会は国宝『三門』にも登れる)される。 他に、京の夏・冬の旅などで公開される事もある。

龍吟庵は本堂の北西にあるが、紅葉の名所「通天橋」(有料)の東にある「偃月橋( えんげつきょう)」を渡って行くことになり、ここは小ぶりだが無料で通れ同じような景色が眺められる穴場。

龍吟庵に向かう時に渡る「偃月橋( えんげつきょう)」

文化財指定データ

【台帳・管理ID】102-1799
【指定番号】00214
【種別】近世以前/寺院
【指定名称】竜吟庵方丈
【ふりがな】りょうぎんあんほうじょう
【員数】1棟
【時代・年】嘉慶元年(1387年)
【構造・形式】桁行16.5m、梁間12.9m、一重、入母屋造、こけら葺
【所在地】京都府京都市東山区本町十五丁目
【所有者】竜吟庵
【重文指定日】1953.03.31
【国宝指定日】1963.07.01
【説明】竜吟庵は東福寺の塔頭の一で、この方丈は嘉慶元年(一三八七)に建てられた。 現存最古のの方丈。中央前面の間(室中)正面を壁とし仏壇を設けないなど,近世の標準的な方丈形式に達する前の古式を伝えている。前面に蔀戸を用い,側面にも扉を開くなど寝殿造りにも通じる構成も方丈の古い形式と考えられ,貴重である。

出典:国指定文化財等データベース一部抜

鑑賞ログ

2018.11.19

お寺の閉門は17時頃という頭がありましたが、こちらは16時閉門ということで本当に滑り込みで入れました。 国宝の方丈はもちろんですが、真のお目当ては重森三玲の3つの庭です。 国宝の本堂に座って庭を眺める贅沢はすごいです。 本堂の写真はNGですが、本堂から庭の写真を撮るのはOKなので、何枚か撮らせて頂きました。

紅葉シーズンの東福寺と言えば、いや、紅葉シーズンの京都と言えば、というくらい有名な東福寺の通天橋ですが、入場制限がかかるくらいの混雑ぶりで、ゆっくり紅葉を眺めるのは難しいくらいです。 こちらの偃月橋は11月中旬だというのに数名しか歩いておらず、通天橋とあまり変わらない眺めを楽しめて穴場発見でした。

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