国宝の出展はありませんが、大好きな仙厓さんを観に出光美術館に行ってきました。 今回の仙厓展のチラシはずいぶんPOPですね~。 老人六歌仙の老人たちにそれぞれ色がついています。 出光美術館さんさすが!
これまでも仙厓さんの企画展を観に行ったことはありますが、今回はちょっとしんみりというか、老後の仙厓さん(といっても画を描き始めたのが老後に近いですが)の暮らしぶりにスポットをあてたもの。暮らしぶりは、きっと面白い友人たちに囲まれて楽しい老後だったんでしょうが、後半の涅槃図などちょっとホロっときますね。
仙厓さんの画はカワイイ動物や子供が有名すぎて、サラサラっと落書きみたいに描いたように思っていましたが、ちゃんとスケッチがあって驚きました。名所旧跡を訪ねるのが好きだったらしい仙厓さんは、風景やお祭りの様子などをしっかり記録していたのです。 そして寺に帰ってからそれを見て描き直していたんですね。 だから中にはちょっとアングルを変えているものや、人物の角度が変わっていたり。 同じ部屋にスケッチと画と両方が展示してあるので、見比べることができて面白いです。
老人六歌仙も同じテーマで3種が出展されていたり、詞書の元ネタも展示されてありましたが、元ネタの方はちょっと自虐が強いというか、読んでいて悲壮感が漂うものでした。仙厓さんのアレンジは、~~だけど楽しく過ごすのんきなお年寄り、という感じでどの画も本当にかわいらしいおじいちゃん達。 あんな老人になりたいものです。
最初の部屋は、割とマジメ(?)な禅画が中心。 「○△□」とか「堪忍」とか、猿が月を取るのとか指月布袋とか、他の画僧も題材にするようなものでも、仙厓さんだととびきりチャーミングになりますね。 でも植物なんかみると線がすごくきれいなんですよね。
カワイイ系だと、例の「きやんきやん」の子犬はいましたよ。「きやふんきやふん」の方は不在です。 どっちもカワイイんですが、きやふんきやふんの方のいい加減さもいいんですよね。 それから「トド」もいましたね。 仙厓さんの「龍虎」図はいくつかあるようですが、今回出展のは風にびゅうっと吹かれている龍虎です。「猫っていわれる」的な賛が書いてある(笑)
後半は、友人たちとの交流ということで、合作が中心です。 友人が描いた画に仙厓さんが賛をしたためたりしています。 仙厓さんの涅槃図も斎藤秋圃という画家が描き、仙厓さんを始め数名が賛を描いたもの。 この周りの人たちは当時のコミュニティの人たちのようで「あ、俺がいる」とかあったんだろうなぁと。 泣き笑いでいいお葬式だったでしょうね。
愛用の品の展示もあって、自作の茶杓や絵付けをした茶碗などもありました。 一番気に入ったのが茶碗入れで、小ぶりの湯飲みを5つくらい重ねて入れたのかな?という木の箱(というか枠) これにニヤケ顔の目鼻を描いちゃってます。 これが、さくらももこ先生がふざけて描いたみたいな顔で、箱のニヤケ顔と同じ顔になっちゃう。
今月28日までなので、仙厓さん本人に興味のある方は、ぜひぜひ観に行ってほしいです。
何度か観たよ~という方も、ちょっとホロっとくる構成なので観てほしいな。
出光美術館 基本情報
住所 東京都千代田区丸の内3-1-1
拝観時間 10:00~17:00、金は~19:00(入館は30分前まで)
休館日 毎月曜日(祝日の場合は翌平日)、展示替、年末年始など
入館料 通常:大人¥1,000、高校・大学生¥700、保護者同伴の中学生以下¥0
特別展 展示により異なる場合あり
割引 団体20名以上¥200引き、ぐるっとパス2018で¥200引き
交通 JR「有楽町」徒歩5分、有楽町線「有楽町」徒歩3分、各線「日比谷」徒歩3分
施設 茶室「朝夕菴」(見学のみ)、「ルオー室」「陶片室」展示あり
国宝 伴大納言絵詞、手鑑「見ぬ世の友」(二百二十九葉)
イベント ギャラリートーク、特別講座、会員制の水曜講演会
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