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国宝-建築|旧富岡製糸場(繰糸所・東置繭所・西置繭所)[群馬]

国宝DB-建築

富岡製糸場のこと

明治時代に外国との貿易が盛んになると、当時の主力輸出品だった生糸(絹糸)の生産力と品質の向上を目的として、政府によって近代的な工場が作られることになる。 計画を主導した渋沢栄一らが、フランス人技師のポール・ブリュナを招聘し、フランス式の建築と機械が導入され、日本の製糸技術の優れた点と組み合わされた。 工女は近隣県を中心に募集され、近代的な労働体制と施設でフランス人の指導者から技術を学び、その中から地元へ帰って技術を広める者もあった。

富岡製糸場で生産された生糸は、その品質で海外でも高い評価を得たが、明治26年(1893年)に三井に払い下げられ、明治35年(1902年)には原三渓の原合名会社へ譲渡される。 独立を経て、昭和14年(1939年)には片倉製糸紡績株式会社に合併され、昭和62年(1987年)まで操業を続けた。 平成17年(2005年)9月に富岡市に寄贈されるまで、片倉工業株式会社によって建物群や装置が保存され、平成26年(2014年)には世界遺産に登録されている。 同年には国宝に指定され、明治以降の建造物としては国宝『旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)』に続き2件目の指定である。

重要文化財「富岡製糸場 ブリュナ館」

国宝『繰糸所・東置繭所・西置繭所』

繰糸所

富岡製糸場の中心的な建物で、140mにも及ぶ長大な建物にフランス式の300釜が設置され、繭から生糸を繰る作業が行われた。 木材で骨組みを作り、外壁をレンガで作る「木骨煉瓦造」で作られ、内部は中央に柱がなく大型の機械を入れられるようになっている。 工女たちの手作業のために、大型のガラスが嵌められた明るい空間である。

国宝『富岡製糸場 繰糸所』
富岡製糸場 繰糸所の内部には昭和期の機械が残っている。

東置繭所・西置繭所

繰糸所の両端から北方向に垂直に伸びる2棟は、それぞれ2階には繭を貯蔵し、東置繭所の1階は事務所や作業所として、西置繭所1階の東側は石炭置き場として使われた。 繰糸所と同じ木骨煉瓦造で作られ、それぞれの2階南側はバルコニーになっている。 フランス人技師が設計したので、長短のレンガを全ての列で1つ置きに積むフランス式で作られている。

この国宝を観るには

年末(12/29~31)を除き、年中無休で開館しており、9:00~17:00(最終入館は30分前)ならいつでも見学することができる。

一般¥1,000、大高生¥250、小中生¥150

文化財指定データ

【台帳・管理ID】102-4005
【棟名】繰糸所
【ふりがな】そうしじょ
【員数】1棟
【構造・形式】木骨煉瓦造、建築面積1,726.92平方メートル、東面玄関附属、桟瓦葺

【台帳・管理ID】102-4006
【棟名】東置繭所
【ふりがな】ひがしおきまゆじょ
【員数】1棟
【構造・形式】木骨煉瓦造、建築面積1,486.60平方メートル、二階建、北面庇・西面及び南面ヴェランダ付、桟瓦葺

【台帳・管理ID】102-4007
【棟名】西置繭所
【ふりがな】にしおきまゆじょ
【員数】1棟
【構造・形式】木骨煉瓦造、建築面積1,486.60平方メートル、二階建、東面及び南面ヴェランダ付、桟瓦葺

【指定番号】00232
【種別】近代/産業・交通・土木
【指定名称】旧富岡製糸場
【ふりがな】とみおかせいしじょう
【時代・年】明治5年(1872年)
【所在地】群馬県富岡市富岡1番地
【所有者】富岡市
【重文指定日】2006.07.05
【国宝指定日】2014.12.10
【説明】旧富岡製糸場は,明治政府が設立した模範的な器械製糸工場である。フランス人の生糸検査人ブリュナの企画指導のもと,横須賀造船所の技師バスティアンが図面を作成し,施工は日本人があたり,明治5年10月4日に操業を開始した。3棟はいずれも木造の軸組に壁を煉瓦積とした木骨煉瓦造である。 繰糸所は敷地の中心に位置する繰糸を行う建物で,桁行が140メートルと長大である。キングポストトラスの小屋組や高い天井,鉄製ガラス窓で明るい大空間を実現している。 東西の置繭所は,繰糸所と直交方向に建つ桁行104メートル,二階建,ほぼ同形の建物である。繭を乾燥,貯蔵し,乾燥のために多数の窓を持つ。東置繭所は入口正面の建物でアーチの要石に「明治五年」の銘を刻む。
旧富岡製糸場は,明治政府が推進した産業近代化の政策を端的に物語る官営の器械製糸工場で,繰糸所と東西の置繭所は,我が国の製糸工場建築の模範となった。
極東地域において,西洋,特にフランスの技術を導入し,日本固有の技術と融合させることで産業革命を成し遂げ,世界の絹文化の発展に大きく貢献した我が国の絹産業の拠点施設であり,文化史的に深い意義を有している。

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋

ついでにグルメ

国宝遠征に行くと、土地の名物はチェックしてなるべく食べるようにしています。 特にB級グルメはテイクアウト不可や日持ちがしなかったり、その土地でしか食べられないことが多いので、最優先で食べています。 

富岡製糸場のある富岡市の名物「ほるもん揚」は、ホルモンではなく竹輪を縦半分に切ってカツにしたもので、見た目がホルモンに似ているからついた名前だそうです。 今回は、駅から富岡製糸場の途上にある「土屋魚店」さんで頂きました。 ついでに新名物と書いてある「こんカツ揚」も注文します。 観光客の少ない時期だったので、注文してから揚げて下さり、店先にあるベンチに座って頂きます。 どちらも薄切りの具材にサックリ衣で、散策の小腹にちょうどいい感じ。 駄菓子のビッグカツの飛び切り美味しい版(ほめています)で、値段も駄菓子的で嬉しいです。

ご近所の「岡重肉店」さんも有名店のようで、こちらはほるもん揚げの他に、お肉屋さんらしいコロッケやエビカツ、カレーパンなどメニューが豊富です。

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