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漢書 食貨志[宝生院(大須文庫)/愛知]

国宝DB-書跡・典籍

宝生院大須観音と大須文庫のこと

名古屋市の中心地にある大須観音は、正式には「北野山真福寺宝生院」という真言宗智山派の寺院で、日本三大観音の1つにあげられる。 寺の周辺は、門前町から発展した商店街が広がり、名古屋でも有数の繁華街になっている。

元は、尾張国長岡庄大須郷(現在の岐阜県羽島市大須)に、後醍醐天皇の勅命によって北野天満宮が造営され、能信上人を別当とした。 後醍醐天皇の皇子の後村上天皇も深く帰依し、伽藍が造営され勅願所となった。 戦国時代には織田信長が寺領を寄進し、江戸時代に入ると徳川家康の命によって現在地に移された。

能信は学問にも優れた僧で、国内外の貴重な書物を多数集め、寺の経蔵は「大須文庫」と呼ばれた。 現在まで15,000もの書物が伝わり、4件の国宝をはじめ多くが文化財に指定されている。 その蔵書は「真福寺本」「大須本」などと呼ばれる。

漢書とは

中国の歴史書で、前漢(紀元前202年~紀元8年)について書かれ、皇帝の伝記「本紀」、人物や位階の「表」、事物について書かれた「志」、様々な人物が描かれた「列伝」からなる「紀伝体」の形式で構成される。 班彪が史記の続編書き、息子の班固がそれ以前の史記と重なる部分を書いたが、完成を見ずに亡くなったため、妹の班昭と馬続が完成させたと伝わる。

国宝『漢書 食貨志』

漢書の中で、伝記ではない物事について書かれた「志」に含まれ、財政や経済について書かれた「食貨志」の、上巻のみが伝わる。 東大寺東南院に伝来したもので、奈良時代によく写経に使われた「黄麻紙」を用いて、奈良~平安時代初期に書写されたと考えられている。 紙背には、嘉保2年(1095年)に書写された「阿弥陀経義疏」という、阿弥陀経の注釈書が残る。

この国宝を観るには

名古屋市博物館に寄託されており、十年単位になるが同館の特別展で公開される事がある。 同じく宝生院が所蔵する国宝『古事記』などに比べると、貸し出されることも少ないようである。 

公開履歴

2012/12/1~2013/1/14 名古屋市博物館「古事記1300年 大須観音展」

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-572
【指定番号】00021-00
【種別】書跡・典籍
【指定名称】漢書食貨志第四
【ふりがな】かんじょしょくかしだいよん
【員数】1巻
【国】日本
【時代・年】奈良時代
【ト書】紙背阿弥陀経義疏
【所有者】宝生院
【国宝指定日】1951.06.09

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
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