無著・世親菩薩立像[興福寺/奈良]

無著・世親菩薩立像[興福寺/奈良]

無著・世親と法相宗

無著(むじゃく)と世親(せしん)は、4世紀頃に北インドのガンダーラに生まれた兄弟で、兄の無著は大乗仏教の学僧になり、弟の世親は最初は小乗仏教の道に進んだ。 無著は弥勒菩薩から学んだ唯識論を確立し、やがて世親も兄の勧めで大乗仏教に転じ、多数の著作を残す。

唯識論は、玄奘三蔵によって中国に伝えられると、玄奘の弟子の慈恩大師窺基(きき)によって法相宗が確立される。 遣唐使の留学僧によって日本にも伝えられ、南都六宗の1つとして現在まで伝えられ、奈良の興福寺と薬師寺が大本山となっている。

国宝『無著・世親菩薩立像』

興福寺境内の北西に建つ国宝『北円堂』は、鎌倉時代の初期に再建され、その本尊『弥勒仏座像』と、そのやや後ろに立つ『無著・世親菩薩立像』は、運慶一門によって作られた。 作者は運慶となっているが、中心になって制作したのは弟子で、無著像は運助、世親像は運賀が担当している。

無著・世親像は、高さ2m近くある大型の寄木造りで、片足をやや踏み出すように洲浜座の上に立っている。 姿は、出身のインド地方の様式ではなく、日本の僧侶と同じように袈裟を着けている。 表情は写実的な表現され、目には玉眼がはめられ、自然で人間らしく肖像彫刻の傑作だといわれる。

左が世親菩薩、右が無著菩薩(興福寺パンフレットより)

この国宝を観るには

北円堂は普段は公開されておらず、春と秋の特別公開の時のみ拝観できる。 春はGW前後に2週間ほど、秋は正倉院展の付近で2~3週間公開されるが、日にちは決まっていない。

公開履歴

2020/4/25~5/6 ※新型コロナ感染拡大防止のため中止
2019/10/17~11/10 北円堂・南円堂 同時公開
2019/4/20~5/6
2018/10/20~11/11

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-171
【指定番号】00010-00
【種別】彫刻
【指定名称】木造〈無著菩薩/世親菩薩〉立像〈運慶作/(所在北円堂)〉
【ふりがな】もくぞうむちゃくぼさつせしんぼさつりゅうぞう
【員数】2躯
【時代・年】1208年
【作者】運慶
【所在地】興福寺
【国宝指定日】1951.06.09

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋

鑑賞ログ

2019年5月

北円堂の特別開扉で拝見しました。 数年前の東博「運慶展」にも出展されていて、かなり近くから360度ぐるりと拝見して、その時の印象は「大きいなぁ」というものでしたが、北円堂で仏像の中にあると小さく感じます。 他の像が、いかにも仏像らしい姿なので、この2躯の人間に近い姿が際立ちます。

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