長弓寺のこと
伝承によると、この土地の豪族だった小野真弓長弓(おののまゆみたけゆみ)が、養子で娘の婿でもあった長麻呂と共に、聖武天皇の狩に付き従った。 鳥が飛び立つのを狙った長麻呂は、誤って父の長弓を射殺してしまい、それを哀れんだ聖武天皇が行基に命じて寺を建立し、長弓の菩提を弔った。
平安時代には、白河天皇の皇子の堀川天皇が伽藍の修復や経典の施入を行い、安徳天皇の御代に火災にあったことが記録に残る。 鎌倉時代には真言律宗や西大寺を中興した叡尊によって再興されるが、室町~戦国時代には破却にあい、明治の廃仏毀釈で規模が縮小した。 現在は長弓寺は無住で、3つの塔頭が交代で本堂を管理している。
国宝『本堂』
桁行5間(正面の柱の間が5つ)、梁間6間(両横の柱の間が6つ)の、密教形式の本堂。 棟札に弘安2年2月25日(1279年)の銘があり、叡尊の復興によって建立されたと考えられる。 ゆったりとした檜皮葺の屋根を持つ和様建築だが、奈良仏教の影響が強く、所々に大仏用の形式がみられる。
本尊は、平安時代に作られた十一面観音立像で、安置される黒漆の厨子と共に重要文化財に指定されている。
この国宝を観るには
外からの参拝は、9:00~16:00の拝観時間内なら無料でできる。 うまし奈良めぐりなどのイベントで、塔頭での精進料理と本堂の内部参拝のプランが企画されることもある。
塔頭と精進料理
長弓寺の3つの塔頭「薬師院」「円生院」「法華院」は、いずれも事前予約制で精進料理を出している。 コンサートやヨガなどのイベントや、交流サロンなども開催されるので、詳しくは各塔頭のWebサイトをご確認ください。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】102-2664
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00154
【種別】近世以前/寺院
【指定名称】長弓寺本堂
【ふりがな】ちょうきゅうじほんどう
【員数】1棟
【時代・年】弘安2年(1279年)
【構造・形式】桁行五間、梁間六間、一重、入母屋造、向拝一間、檜皮葺
【附指定】野棟木3本
【所在地】奈良県生駒市上町
【国宝指定日】1953.11.14