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鑑賞ログ|畠山記念館「光悦と光琳」2019年2月

国宝じゃないけど

光悦と光琳

久しぶりの畠山記念館です。 今回は国宝の出展はありませんが、琳派づくしということで前期の終盤に訪問しました。 タイトルは「光悦と光琳」となっていますが、宗達や乾山も多く出ていて、光悦×宗達や光琳×乾山の合作もあります。 京琳派の特に茶道具が充実した展示でした。

畠山記念館 「光悦と光琳-琳派の美-」2019年1~3月

まずは、畳の小上がりにあがって掛軸を眺められるコーナーから。最近は東博でも畳で屏風など(レプリカですが)観られる展示がありますが、こちらではずっとこの環境なんですよね。 手前から、光悦の「扇面月兎画賛」で、扇に金と緑青が塗られ兎が飛んでいる琳派らしいもの。光悦の画のみって意外と少ない気がします。 次は宗達の「蓮池水禽図」で京博所蔵の国宝に同名の画がありますが、それの構図違いといった雰囲気です。 「たらしこみ」の説明のサンプルにしたいような蓮の花の水墨画です。

続いて光琳の「禊図」は在原業平が禊をしているところですが、ちょっと笑っちゃうくらい愛嬌のある姿、でも下品にならないのはさすがです。 今回の展示会で一番のお気に入り。 畳コーナーラストは乾山の「拾得図」ですが、乾山の画もそんなに見ませんよね。 拾得はちょっと妖怪ぽく描かれがちですが、これは哀愁を感じる後ろ姿で表現されています。

このコーナーは4幅とも前期後期で展示替えがあるようです。 光悦の扇面画が伝宗達の扇面画に替わる他は、3幅とも同じ作者で別の作品に替わるようで、重文指定の光琳「躑躅図」も気になります。

畠山記念館 庭の椿

大好きな、宗達の下絵に光悦の書という組み合わせですが、今回もいくつか出展されています。 重文の「金銀泥四季草花下絵古今集和歌巻」名前は長いですが、宗達が金銀で四季の草花を描いた上に、光悦が古今集を書いたもの。 京博の持っている同コンビによる鶴の下絵のやつみたいです。 東博の顔真卿展で立派な書を観たばかりですが、光悦の柔らかさは全く別物の素晴らしさですね。 これは期間を3期に分けて巻替えてくれるよう。 他にもこのタイプの「小謡本」や、一面にススキを描いた「金銀泥薄下絵古今集和歌絵巻」も出ています。

絵画では、前期だけの展示ですが光琳が絵付けをした「団扇」が出ています。 団扇面を軸装という事ではなく、団扇の状態で残っています。 表は無数の杜若に八橋がかかっています、裏は秋草が描かれていてこれもThe琳派!な一品でした。

畠山記念館 庭園

畠山記念館と言えば茶道具ですが、実業家茶人の畠山即翁は乾山の焼物を大切にしていたようで、茶懐石の料理を任せていた女将に「茶席にずっと乾山を出すのは不安だ」「向付で出してすぐ下げちゃえ」(セリフはうろ覚えです)的なやり取りをしたようです。 なんてかわいいエピソードなんでしょう。

光悦作の焼物は、重文指定「赤楽茶碗 銘 雪峰」ともう一点。 ちょっと珍しいなと思ったのは、光悦作の能面が出ていました。 山姥の面ですが、解説を読むと書画を得意とした光悦らしく、髪の線が美しいということ。 

焼物は乾山が中心で、5つ揃ったものが多くあって、全て違う草花が描かれているのなど華やかでかわいらしくて、ずっと眺めていられます。 印象に残ったのが「福寿紋手鉢」で、菓子器に使えそうな鉢にびっしりと、丸に「福」「寿」が書かれています。 微妙に字体が違うのですが、このフォント発売してほしいくらいかわいらしいんです。 たまに福に代わって「コウモリ」がいたりします。

サッと見だと30分くらいで観られるこじんまりした美術館で、後期は雛人形も飾られるようですよ。 今年6月から大規模改修で一時閉館されるそうですが、バリアフリー化とかでしょうか? 改装後も畳コーナーは残してほしいなぁ。

特別展 情報

期間:1/19~3/17 ※期間中展示替えあり
休日:毎月曜(祝日の場合は翌日)
料金:大人¥700、大学・高校生¥500
時間:10:00 ~ 16:30(入館は16時まで)
施設:日本庭園内に茶室あり、会期中は外からガラス越しに見学可能
住所:港区白金台2-20-12
交通:浅草線「高輪台」徒歩5分、南北線・三田線「白金台」徒歩10分、JR「五反田」徒歩12分
呈茶:¥500(干菓子付き)
備考:玄関でスリッパに履き替えます
Webサイト  http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/

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