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鑑賞ログ|MIHOミュージアム「大徳寺龍光院 国宝 曜変天目と破草鞋展」

国宝鑑賞ログ

国宝 曜変天目と破草鞋展

大徳寺の塔頭「龍光院(りょうこういん)」は、観光での拝観は一切謝絶の寺院で、5件の国宝をはじめ多くの文化財を所有しますが、それらも観ることが難しいことで有名です。 特に有名なのが、世界でも日本で国宝に指定された3椀しか現存しないといわれる「曜変天目」で、今回の展覧会では通期で展示されるまたとないチャンス、そして同時期に曜変天目が3椀同時に公開されることでも話題になっています。

大徳寺龍光院 国宝 曜変天目と破草鞋展@MIHOミュージアム

一、龍光院二世 江月宗玩

江月宗玩(こうげつそうがん)は二世となっていますが、開山の春屋宗園は入寺後間もなく亡くなっているので、江月宗玩が実質の開山のようです。 このコーナーでは宗玩のことをざっと紹介してくれます。 龍光院での設えのままでしょうか、坐像が安置されています。 数珠や払子などの仏具や宗玩自筆の文書類などが並んでいました。

二、天王寺屋津田家

江月宗玩は、千利休や今井宗久らと「天下三宗匠」とされた堺の豪商「天王寺屋」津田宗及の次男です。 曜変天目も天王寺屋が所有していたもので、天王寺屋から龍光院に伝わった宝物類が中心に構成されています。

今回の展覧会のタイトルにもなっている国宝『曜変天目』はもちろん一番人気で、専用の行列があり10名程度のグループで1分ほどしか観られません。 それでも他の曜変2椀に比べて圧倒的にレアなので、皆さん並んでいます。 自然光の中で観られた静嘉堂の稲葉天目に比べると色彩の変化は少なめですが、品よくきらめいて、上下左右に移動すると色味の変化が楽しめました。

Ⅰ期(3/21~4/7)には国宝の『密庵咸傑墨蹟』が出ていたようです。 この墨蹟をかけるために作られたという「密庵床」を含む「密庵席」という茶室があり、密庵席を含む書院全体が国宝に指定されているんです。 いつか実物を観てみたいものです。 今回のⅡ期には伝牧谿の「栗図」「柿図」が並んで展示されていました。 とてもホッコリゆるめの水墨画です。 大名物といわれたような茶道具がたくさん出ていますよ。

三、紫野仏法の法脈

京都紫野の地にある大徳寺は、禅宗の臨済宗大徳寺派の総本山で、一休さんでおなじみの一休宗純や沢庵など高僧がたくさん出ます。 桃山時代頃には文化の中心地にもなり、戦国大名ゆかりの塔頭が多くあるようです。 このコーナーでは禅僧の墨蹟を中心とした展示でした。 ちょっと驚いたのは因陀羅の絵があったこと。 禅機図断簡以外で因陀羅の絵を観たのは初めてです。

四、江月宗玩‐その生涯と周辺‐

ここは更にコーナーが分かれていて、師である春屋宗園から。 頂相(ちんそう)は禅僧の肖像画(肖像彫刻)ですが、頂相の他には墨蹟などが中心です。 続いて江月宗玩の頂相や墨蹟が続き、こちらにも袈裟や払子など宗玩所用の品々が展示されていました。 

続いては紫衣事件(3代将軍家光)の頃で、どういった関係だったかキャプチャーの内容を覚えていませんが、国宝の『金剛般若経』が出ていて、大覚禅師蘭渓道隆が写したものだそうです。 時代が「南宋時代」となっているので、蘭渓道隆が来日する以前に書写したものでしょうか。

ちょっと渋めの禅関係の展示が続きましたが、ちょっと柔らかくなって茶の湯や文化的な展示になります。 光悦や仁清による焼物や、親しかったという小堀遠州ゆかりの品など華やかさのある茶道具が多くあります。 書も禅僧のものより柔らかいですね。 ここは展示替えが多いようで、近ければリピするのですが残念。

五、龍光院の今

最後は「龍光院の今」ということで、江戸後期から近年に加わったものの他、現在の小堀月浦住職の活動される勉強会などが紹介されていました。 一般公開は難しいかもしれませんが、苔寺や待庵のある妙喜庵のように、申込制ででも拝観できるようになるといいのですが。

交通案内とアドバイス

MIHO MUSEUMは滋賀県の山あい、焼物や忍者で有名な甲賀市信楽町にあります。 交通はかなり不便で、JR石山駅から約50分の帝産バスに乗るのが一番便利でしょうか。 車の方もこの期間中は混んでいるので、遠い駐車場に停めてシャトルバスに乗ることになるかもしれません。

JR石山駅の改札を出て右手すぐのエスカレーターを降りると、目の前のバス停がMIHO MUSEUM行きです。 バス停の少し先に帝産バスの券売機があり、入館料とのセット券も買うことができます。 現地のチケット売り場で並ばなくてよいのでセット券がおすすめです。 1時間に1本ほどで、最終バスが14:10(平日は13:10が最終)なので、事前にスケジュールを組んだ方がいいです。 今回は人出があるので、臨時バスも出ているようですね。

MIHO MUSEUM 連絡橋からの眺め

特別展以外のみどころ

曜変天目は「世界に3椀のみ」と言われますが、実は重要文化財の「曜変天目」があり、このMIHO MUSEUMが所蔵しています。 この1椀を「曜変」と呼ぶかどうかは色んな意見があるようです。 油滴天目のように見えますが、一部の斑紋が曜変のように光るんだそうです。 こちらはそれほど並んでいないのでぜひ。

こちらの美術館にはエジプトや古代ローマなどの文物から中国の青銅器や石仏など、古い時代の美術品を得意としているようで、広大な展示ルームには美術品がぎっしり。 ゆっくりだと1日かかってしまうのではないでしょうか。 レストランやベーカリーショップがありますが、混んでいてパンも売り切れだったので、長くいそうな方は非常食を持って行った方がいいかもしれません。

展覧会情報

展覧会 概要

期間:2019/3/21~5/19
時間:10:00~17:00(入館は1時間前まで)
休日:毎月曜 ※4/29・5/6は開館、4/30・5/7は休館
料金:大人¥1,100、高大生¥800、小中生¥300

MIHO MUSEUM 公式サイト

アクセス(バス)

JR「石山駅」→「MIHO MUSEUM」行き
約50分 ¥820
平日 9:10、10:10、11:10、12:10、13:10
土日祝は、9:50、14:10が増便される

「MIHO MUSEUM」→JR「石山駅」行き
約50分 ¥820
11:00、12:00、13:00、14:00、15:00、16:07、17:14

信楽高速鉄道「信楽駅」→田代・畑・陶芸の森ルート
「MIHO MUSEUM」下車 約20分 ¥250
10:50、14:50

「MIHO MUSEUM」→信楽高速鉄道「信楽駅」
約20分 ¥250(※印は¥260)
11:00、12:20※、13:30※、15:10

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