国宝『霊山寺 本堂』
この地は古くは、遣隋使の小野妹子も輩出した小野氏の領地で、妹子の子と伝わる小野富人が隠居し、薬師三尊をまつったという。 聖武天皇が、皇女(後の孝謙女帝)の病気平癒のために行基をつかわすと、すぐに病が癒えたので、堂宇が建立されたと寺伝に伝わる。
現在の本堂は、鎌倉時代に建造された和様の様式で、附として国宝に指定されている棟札から、弘安6年(1283年)改築されたことがわかっている。 本尊は秘仏の薬師如来で、毎年秋バラの時期にはご開帳される。
桁行5間(正面の柱の間の数が5つ)、梁間6間(横から見た柱の間が6つ)で、瓦葺きの屋根は中央正面のみやや手前にせり出す「向拝」が付く。 向拝の付いた中央3間は蔀戸(しとみど)、両脇はいわゆる観音開きの桟唐戸になっている。
この国宝を観るには
霊山寺は、広大な敷地にゴルフ練習場や日帰り湯など多くの施設があり、本堂はほぼ中央に位置していて、拝観時間内に、大人¥500、小人¥250の入山料を払えば、堂内の外陣に入って参拝することができる。 本尊の重要文化財「薬師如来坐像・日光月光菩薩立像」は、1/1~3にご開帳される。
バラ園
寺の入口脇には、1200坪のバラ園が広がっている。 これは先代の住職が、終戦後にシベリア抑留から帰国した後に、平和を願って開いたもの。 バラ園は寺の鬼門の方角にあたり、鬼門には棘のある植物を植える風習もあるという。
春だけでなく、秋にもバラの見ごろを迎える。 園内には人工池やティールームもあり、多くの人でにぎわう。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】102-2487
出典:国指定文化財等データベース一部抜
【指定番号】00155
【種別】 近世以前/寺院
【指定名称】霊山寺本堂
【ふりがな】りょうせんじほんどう
【員数】1棟
【時代・年】弘安6年(1283年)
【構造・形式】桁行五間、梁間六間、一重、入母屋造、向拝一間、本瓦葺
【附指定】棟札1枚
【所在地】奈良県奈良市中町
【国宝指定日】1953.11.14
ついでにグルメ
バラ園の反対側には「仙人亭」があり、食事や甘味などが楽しめる。 写真はケーキセット。 バラの時期には、バラ園内のティールームもオープンする。 バラ園の隣には「薬師湯」があり、日帰り入浴が楽しめるほか、宿坊も完備している。
鑑賞ログ
2019年6月
バラシーズンの終わり頃に訪問しました。 もう完全に花期が終わったバラもありますが、全体の2/3程は咲いている印象です。 本堂は、Webサイトなど公式には10:00~になっていますが、9:30頃には参拝させて頂けました。 バラ園は8:00~開いているので、朝の時間を有意義に使えます。
国宝の本堂は立派なお堂です。 外陣までは入らせて頂けますが、内陣とを仕切る格子には、薬師如来の掛け仏がありました。
こちらのお寺、境内がとーても広く見どころがたくさんあります。 最近の建造物や仏像も多くあり、ちょっとアトラクションぽく楽しむことができました。 お賽銭の小銭は多めに持って行った方がいいかもしれません。 バスの本数が少ないですが、のんびり過ごそうと思えば半日近く遊べそうな気がします。