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国宝-工芸|飛青磁花生[大阪市立東洋陶磁美術館]

国宝DB-工芸

青磁とは

中国で紀元前から焼かれている磁器で、表面がガラスのようにツルリとしていて、少しグレーがかったペールグリーン~ペールブルーをしている。 中国では宋の時代に流行し、日宋貿易で茶の湯が盛んになっていく日本にももたらされ、唐物として足利将軍家ほか大名や豪商に珍重された。

国宝『飛青磁花生』

花生とは

茶の湯で使用する、草花を生ける(活ける、入れる)器のことで、「花入」ともいう。 足利将軍家のコレクションだった「東山御物」にあるような、南宋から渡った金属製や陶磁器の花生は格式が高いとされ、侘び茶が好まれると竹を切って作る簡素な花生が流行するようになる。 茶席の大きさや格式、他の茶道具とのバランスなどによって選ばれる。

国宝『飛青磁花生』

「飛青磁」とは、鉄斑文という焼物の装飾方法で、鉄の多い成分で所々に黒っぽい模様を出したもの。 中国浙江省の「龍泉窯(りゅうせんよう)」でよく焼かれ、龍泉窯は日本だけでなく東南アジアや中近東にも輸出されていた。

下部が膨らみ口がすぼまったこの形は、中国で「玉壺春(ぎょっこしゅん)」と呼ばれる酒器(酒を入れる食器)だったが、日本では茶の湯で使用する花瓶「花生(花入)」として珍重されるようになる。 

大阪の豪商「鴻池(こうのいけ)家」に伝来したもので、戦中~戦後の10大商社の1つだった「安宅産業」のコレクションになっていた。 1980年に安宅産業が伊藤忠商事に吸収合併されると、メインバンク住友銀行を含む住友グループにより、大阪市に寄付された。

国宝『飛青磁花生』
国宝『飛青磁花生』

この国宝を観るには

所蔵している「大阪市立東洋陶磁美術館」の常設展で、ほとんどの期間で公開されている。 同館が所蔵するもう1点の国宝『油滴天目茶碗』も公開されている期間が長い。

2022/2/7~2023年秋頃まで、館内改修のため長期休館

大阪市東洋陶器美術館 公式サイト

館外での公開

2023/7/11~9/3 九州国立博物館「大阪市立東洋陶磁美術館名品選展
2023/3/18~5/21 泉屋博古館 東京「安宅コレクション名品選101
2022/9/16~12/18 台湾 故宮博物院「閑情四事」

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-339
【指定番号】00052-00
【種別】工芸品
【指定名称】飛青磁花生
【ふりがな】とびせいじはないけ
【員数】1口
【国】中国
【時代・年】南宋~元
【寸法・重量】高27.3cm、胴径14.5cm 
【品質・形状】器形はふっくらとした胴を上方に向かってしぼり、わずかに開いて口とした瓶である。高台は大きく高く、きわめて丁寧に仕上げられている。素地は灰白色で堅く、全面にわっって青緑色の青磁釉が厚くかかり、よく融けて光沢のある美しい肌となる。高台の畳付部分のみ釉を剥ぎ、赤黒く焦げる。鉄斑文は胴に十三、口辺に五、高台に三を数えるが形は不定で、色も黒褐色から茶褐色まで変化がみられる。
【所在地】大阪市立東洋陶磁美術館
【国宝指定日】1952.03.29
【説明】飛青磁は古くから茶人が珍重しているもので、釉面に点々と鉄斑文のある青磁をいう。本花生は飛青磁を代表する傑作として最も名高い。器形、作風から南宋~元代と見られ、古く日本に運ばれて伝世したと推定されている。江戸時代以降、大阪鴻池家に伝わり、飛青磁の随一として著名であった。

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
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