油滴天目茶碗[東洋陶器美術館/大阪]

油滴天目茶碗[東洋陶器美術館/大阪]

油滴天目茶碗とは

「天目茶碗」は中国で焼かれた黒釉の茶碗で、入宋僧ら渡来僧らによって茶の文化と一緒に伝えられた。 油滴天目の他、最高級とされる曜変天目や、日本でも白天目などが焼かれた。 小ぶりなものが多く、漆の台に乗せて貴人に出されたので、専用の台があわせて伝わっているものも多い。

国宝『油滴天目茶碗』

同じ南宋時代の曜変天目などと同様に小ぶりで、口の部分には保護と装飾を兼ねる金属製の「金覆輪」が付いている。 表・内側ともに「油滴」と呼ばれる細かい滴模様が全面に入っており、これは釉薬の中の鉄分が結晶したもの。 油滴天目で国宝に指定されているのはこの1椀のみで、茶碗3椀と鉢1点が重要文化財に指定されている。

国宝『油滴天目茶碗』東洋陶器美術館蔵

刀と同様、所有した人物など「来歴」が重視される茶道具だが、この油滴天目は豊臣秀次→西本願寺→三井家→若狭酒井家に伝わり、近代では10大総合商社の一角だった安宅産業の所有となっていたが、その破綻によって住友グループが大阪市に寄付し、陶器コレクションを展示・収容するために東洋陶器美術館が開設された。

国宝『油滴天目茶碗』東洋陶器美術館蔵

この国宝を観るには

所有者である「大阪市立東洋陶磁美術館」の常設展に出展される機会が多いので、国宝の茶碗の中では観る機会の多い国宝。

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-296
【指定番号】00010-00
【種別】工芸品
【指定名称】油滴天目茶碗
【ふりがな】ゆてきてんもくちゃわん
【員数】1口
【国】中国
【時代・年】南宋時代
【寸法・重量】高7.0cm、口径12.3cm、高台径4.3cm
【品質・形状】器形は建戔形で、高台は低く小さい。内外に厚く黒釉がかかり、これに俗に油滴とよぶ粒状の斑文が散り、光沢を放つ。外側腰付近で露胎になり、鉄分を含んだやや粗い土で、堅く焼き締まり、黒灰褐色を呈しているのが分かる。口縁に金複輪をめぐらす。 袋:白地二重蔓小牡丹金襴、萌葱地花文唐草金襴
【ト書】附髹漆天目台 三箇
【画賛・銘等】
【伝来・他】関白秀次が所持し、聚楽道具の一つとされていたと伝えられる。のち西本願寺に移り、京都六角の三井家に入り、そのご若狭藩主酒井家の所蔵となり、長く伝世し、複数の手を経て大阪市の所有となった。
【所有者】大阪市立東洋陶磁美術館
【国宝指定日】1951.06.09
【説明】黒褐色の素地、漆黒の天目釉、器形、作風に建盞の特徴がよく現れている。内外全面に俗に油滴とよんでいる粒状の斑文が散布し、その部分だけ金属的な光沢を放っている。本碗は、雲州松平家の油滴とともに油滴の双璧とされている。結晶が大柄で、内外全面にぴっちりとある油滴が実に見事である。縁に金覆輪をめぐらし、漆の天目台を三箇伴っている。

【説明】黒褐

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋

鑑賞ログ 2019年5月

この春は「曜変天目3椀同時公開」で盛り上がっていますが、実は重要文化財の曜変天目[MIHO MUSEUM]や、この国宝『油滴天目』なんかも公開されていて、天目祭りになっていました。 せっかくなのでこの機会に観ようと思い訪問。 静嘉堂文庫の曜変に続いて2椀目で、稲葉天目の小ぶりさにも驚きましたが、こちらもかなり小ぶりです。 後で調べたらほぼ同じ大きさなんですね。 金覆輪と黒味の強い油滴とがとてもシックな1椀でした。 

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