園城寺(三井寺)北院
延暦寺の東のふもと、琵琶湖の西岸にある園城寺は「三井寺(みいでら)」と呼ばれることも多い。 広大な三井寺は、金堂などがある中心的な「中院」と、北に「北院」、観音堂などがある「南院」に分かれている。 中院と南院は境内がつながっており参拝客も多いが、北院は500mほど離れ間に高校や市役所があり観光客はほとんどいない。
北院の中心が新羅善神堂(しんらぜんしんどう)で、三井寺の建築物は秀吉による破却があったがこの堂は離れていることもあり免れた。 新羅善神堂から西にさらに坂を上がると三井寺の塔頭「法明院」があるが、ここは明治時代にフェノロサが滞在しており、イギリスで亡くなり火葬されたフェノロサの墓もある。
国宝『新羅善神堂』
「神社」として国宝登録される新羅善神堂は室町時代初期頃の建築で、足利尊氏によって再建されたものだと伝わる。 近江地方に多い神社建築の様式「流造(ながれづくり)」で、手前に大きくカーブのついた桧皮葺の屋根が特徴。 附として「須弥壇及び厨子」も国宝指定されている。
中にはヒノキの一木造りの国宝『木造新羅明神坐像』が安置されているが、秘仏なのでほとんど公開されない。 三井寺は明治までは神仏習合が色濃く、神は仏の化身した姿とする本地垂迹説では、新羅明神の本地仏は文殊観音菩薩とされる。
この国宝を観るには
三井寺の前の通り(京阪電車が並んで走る道)を北に進む。 左手に「大津商業高校」→「大津市役所」→「消防署」を見ながら進み、次の道(細い車道)を左折し、ゆるい坂道を登り1つ目の角を左に曲がる。 駐車場の奥のような場所で、あまり人もおらずひっそりとしている。 内部には入れないが無料で拝観可能。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】102-1330
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00110
【種別】
【指定名称】園城寺新羅善神堂
【よみかた】おんじょうじしんらぜんしんどう
【員数】1棟
【時代・年】室町前期 貞和3年(1347年)
【構造・形式】桁行三間、梁間三間、一重、流造、向拝一間、檜皮葺
【所在地】滋賀県大津市園城寺町
【所有者】園城寺
【重文指定日】1901.03.27
【国宝指定日】1953.03.31
鑑賞ログ
2019年5月
かなり分かりずらい場所にひっそりとたたずんでいます。 もちろん行き帰り現地でも誰にも会いません。 ちょうど三井寺の本堂で特別拝観をしていて、新羅善神の本地仏だという文殊菩薩を参拝できました。