宇治上神社のこと
宇治川を挟んで平等院の反対岸には、「宇治神社」と「宇治上神社(うじがみじんじゃ)」が並び、二社あわせて「宇治明神」や「離宮社」と呼ばれた時代もある。 創建の詳細は不明だが、対岸に平等院が出来ると鎮守社とされ、藤原氏からの奉納や奉仕があった。
祭神は、中殿に「応神天皇」、右殿には応神天皇の皇子で次代天皇の「仁徳天皇」、左殿には仁徳天皇の異母弟「菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)皇子」をまつる。 日本書紀によると、菟道稚郎子を愛した応神天皇が御位を譲ろうと皇太子に立てたが、仁徳天皇とお互いに皇位を譲り合い決着をみなかったため、菟道稚郎子が自ら命を絶ったという。
国宝『拝殿』
宇治上神社は、山の斜面が始まる場所に位置し、本殿は斜面のやや高い位置に、拝殿は宇治川寄りの低い位置にある。 本殿より作られた時代が新しく、鎌倉時代前期頃に建てられたと考えられ、寝殿造りの邸宅の要素が各所にみられる。
屋根は、入母屋造のように見えるが、切妻造りの両妻に庇を付けたもので、正面には1間の向拝が付く。 桁行6間だが、向かって一番左は柱間が狭く、庇下部分と合わせた1部屋のようになっている。 反対側の庇の下も、壁に囲まれた部屋のように作られ、中央部分は広い空間になっている。
この国宝を観るには
宇治上神社は門があるので、開門時間内のみ参拝可能。 原則9:00~16:30だが、季節によって変動する。 参拝は無料。
宇治上神社の国宝
宇治上神社は『本殿』も国宝に指定されています。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】102-1947
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00089
【種別】近世以前/神社
【指定名称】宇治上神社拝殿
【ふりがな】うじがみじんじゃはいでん
【員数】1棟
【時代・年】鎌倉前期
【構造・形式】桁行六間、梁間三間、一重、切妻造、両妻一間通り庇付、向拝一間、檜皮葺
【附指定】桟唐戸4枚、蟇股1個
【所在地】京都府宇治市宇治山田
【国宝指定日】1952.11.22
【説明】宇治川を挟んだ平等院の対岸にある。創始は明らかでないが、平等院鳳凰堂の完成後、宇治に来訪する貴族の信仰も厚かった。