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国宝-建築|大宝寺 本堂[愛媛]

国宝DB-建築

国宝『大宝寺本堂』

大宝寺は、大宝年間(701~703年)に豪族の越智氏によって創建され、その元号から「大宝寺」となる。 本堂建立の仔細は不明だが、愛媛県で最古の木造建築である。 江戸時代には松山藩主の祈願所となり、藩主の松平家によって修繕もされている。 現在は真言宗智山派の寺院。

正面が3間(柱の間が3つ)で蔀戸になっており、梁間(奥行・サイド)は4間で、手前の1間のみ板戸になっている。 正方形に近いが、屋根はゆるやかな寄棟造りで、現在は本瓦葺になっている。 柱は円柱が使われており、垂木の間隔が柱ごとに異なるなど、平安時代の阿弥陀堂の形式で建てられている。

国宝 大宝寺 本堂[愛媛]
国宝 大宝寺 本堂[愛媛]
国宝 大宝寺 本堂[愛媛]

国宝の附指定

厨子1基
室町時代の寛永8年(1631年)に作られた厨子で、正面は3間で軒唐破風が付き、屋根は柿葺になっている。 和様に禅宗様が取り入れられている。

棟札1枚
貞享2年(1685年)に修理された際の棟札

うば桜伝説

小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)によって編纂された「怪談」にも入り、英訳もされている「うば桜」が残っている。

子宝に恵まれない長者が大宝寺に願掛けすると女の子を授かり、お露と名付けて大切に育てるが、乳母の乳が出なくなり、薬師如来に祈ると出るようになり、長者はお礼に本堂を寄進する。

お露は美しく育つが15歳の時に病になり、乳母がわが身にかえてもと薬師如来に祈ると、お露は回復するが、乳母が倒れてしまう。 乳母は薬師如来との約束だからと薬も飲まずに、薬師如来へのお礼に桜の木を植えてほしいと遺言し亡くなってしまう。 長者が桜を植えると幹から花が咲き、乳のような色と乳母の乳房のような姿だったという。

この国宝を観るには

境内は自由なので、外観はいつでも観ることができる。 通常は内部公開されないが、毎年3/28には開扉され、内部と中に安置される仏像を拝観することができる。

文化財指定データ

【台帳・管理ID】102-3317
【指定番号】00136
【種別】近世以前/寺院
【指定名称】大宝寺本堂
【ふりがな】たいほうじほんどう
【員数】1棟
【時代・年】鎌倉前期(1185~1274年)
【寸法・重量】
【構造・形式】桁行三間、梁間四間、一重、寄棟造、本瓦葺
【附指定】厨子1基、棟札1枚
【伝来・他】
【所在地】愛媛県松山市南江戸五丁目
【所有者】
【重文指定日】
【国宝指定日】1953.03.31
【説明】建立年代は不明であるが、形式手法は平安時代末期頃の特貭を現している。円柱に隅のみ舟肘木を用い勾配のゆるい軒及び垂木割のないことなどよく時代の特徴を示している。四國地方に於ては既に國宝に指定された髙知県豊樂寺藥師堂に次ぐ古い建築である。

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋

鑑賞ログ

2019年8月

山の中腹にあるので、「大宝寺口」バス停からは、階段をかなり登ります。 階段を登りきると、すぐ正面に国宝の本堂が見え、右側からは「うば桜」が枝を広げています。 特に本堂前はそんなに広くないのですが、うば桜ほか植栽が多く、写真を撮るのに苦労しました。 とても品の良いこじんまりしたお堂です。

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