源氏八領とは
平安末期の騒乱について、鎌倉時代頃に書かれた軍記物語『保元物語』や『平治物語』に源氏の重宝として登場する8つの鎧。 そのほとんどが、保元の乱と平治の乱で失われ、現存するのは楯無の鎧のみ。
源太産衣(げんたがうぶきぬ)
八龍(はちりょう)
楯無(たてなし)
薄金(うすかね)
膝丸(ひざまる)
月数(つきかず)
日数(ひかず)
沢瀉(おもだか)
国宝『小桜韋威鎧(兜・大袖付)』
源氏八領で唯一現存する「楯無の鎧」は、武田家の祖とされる源頼義の三男「新羅三郎義光」が受け継ぎ、楯が不要なほど丈夫だとこの名で呼ばれる。 現在は山梨県塩山の雲峰寺に伝わる日の丸の「御旗」と共に、甲斐源氏武田家の重宝とされる。 武田軍の軍議では、意見が割れた時なども「御旗楯無も御照覧あれ」と唱和して出陣したという。 長篠の合戦で武田軍が敗れると、家臣が向嶽寺に埋めるが、徳川家康が彫りだして菅田天神社に戻したという伝承がある。
![小桜韋威鎧(兜・大袖付)楯無鎧の模作[東京国立博物館]](https://i0.wp.com/wanderkokuho.com/wp-content/uploads/2020/09/201_00367_1.jpeg?resize=310%2C480&ssl=1)


この国宝を観るには
菅田天神社の収蔵庫で保管されているが、原則的に非公開。 ごくまれに1~数日公開されることがある。

公開履歴
2019/8/7 菅田天神社 特別公開
2013/10/25〜27 菅田天神社「国民文化祭」※台風で中止
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-367
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00079-00
【種別】工芸品
【指定名称】小桜韋威鎧〈兜、大袖付/〉
【ふりがな】こざくらかわおどしよろい〈かぶと、おおそでつき〉
【員数】1領
【時代・年】平安時代
【寸法・重量】胴高65.1 兜鉢高10.0 大袖長42.4
【品質・形状】胴裾開き。平札黒漆塗り、要所は鉄、革札一枚交じり、鉄札頭互の目形切付。威毛小桜藍染韋、毛引威し、耳糸紫韋、畦目菱縫紅猿鞣。前立挙二段、後押付板、逆板、三の板、衝胴四段。
【所有者】菅田天神社
【国宝指定日】1952.11.22
【説明】本鎧は、武田氏の宝物として相伝し、「楯無」と号したと伝える。信玄の時に菅田天神社に納めるが、長篠合戦に敗れた際に家臣田辺左衛門がこれをもって逃れ、向嶽寺の杉樹下に埋めた。これを徳川家康甲府入城の際に発掘して、再び同社に納めた。寛政十年に補修を受けたが、総体に平安時代後期の古雅な趣を遺しており、貴重である。
※このページで使用している写真は、京都国立博物館所蔵、東京国立博物館で展示されていた模造品です。