国宝『瓢鮎図 (ひょうねんず)』
掛軸に仕立てられた水墨画で、上半分は31名の禅僧による「賛」で埋め尽くされている。 下半分の絵画部分は、遠くに山々と手前に竹の茂る水辺が描かれ、みすぼらしい風体の人物が両手で瓢箪を持っており、その先には大きな鮎(なまずのこと)が泳いでいるという構図。 室町4代将軍の足利義持が「瓢箪で鯰を抑えとることができるか」という題を出し、それに対して僧たちが答えを書きこんだもの。
如拙のこと
作者の「如拙(じょせつ・にょせつ)」は室町時代の画僧で、生没年など詳細についてはわかっていない。 国宝の『瓢鮎図』ほか、京都国立博物館所蔵の「王羲之書扇図」が重要文化財に指定されている。 室町時代に相国寺に所属しており、後に日本の禅画・水墨画で一時代をなす雪舟等楊からも祖とあおがれている。
この国宝を観るには
公開される機会は少なく、博物館などでも特別展に出展される場合には見逃さないようにしたい。 妙心寺の塔頭「退蔵院」ではレプリカが観られる。
公開履歴
2021/8/24~9/12 京都国立博物館「京の国宝」
2019/7/13~9/1 九州国立博物館「室町将軍展」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-19
出典:国指定文化財等データベース一部抜
【指定番号】00017-00
【種別】絵画
【指定名称】紙本墨画淡彩瓢鮎図〈如拙筆/〉
【員数】1幅
【時代・年】室町時代
【作者】如拙
【ト書】全愚周崇の序、玉畹梵芳等三十僧の賛がある
【所有者】退蔵院
【国宝指定日】1951.06.09