特別展「はにわ」
2024年10~12月に東京国立博物館で開催された「はにわ」展が、九州国立博物館に巡回します。 国宝や重要文化財などは作品の保護のために年間の移動や公開日数が制限されているのですが、埴輪や土偶などの考古資料は制限がゆるいので、所蔵館で年間を通して公開されているケースも多くあります。 はにわ展で公開される国宝も、東京国立博物館や群馬県立歴史博物館に行けばいつでも観られますが、そこは国立博物館の特別展でとても面白い展示構成になっています。 例えば、現在はバラバラに所蔵されている挂甲の武人が勢揃いで戦隊ヒーロー風に並んでいたり、楯持人だとか家形など形状別に様々な地域や時代の埴輪が並んでいたり、こんな風に見比べる機会はこの先ないのでは?!という展覧会です。 そして、東京と同様に全て写真撮影可能なようです。
この展覧会で観られる国宝
国宝『埴輪 武装男子立像(挂甲の武人)』東京国立博物館
今回の展覧会は、この挂甲の武人が国宝に指定されてから50周年を記念したもので、同じ工房で作られたという説もある挂甲の武人5躯が勢揃いしています。 一番遠いところではアメリカのシアトル博物館から里帰り中の方もいますので、こんな機会は最初で最後になるのではないでしょうか。
数年前の修理期間の調査で、挂甲の武人の表面には色がついていたことが分かりました。 彩色復元像が展示されているのですが、色鮮やかすぎて別人のようです。

国宝『東大寺山古墳出土品』東京国立博物館
・金象嵌銘大刀
・鍬形石
・車輪石
・石釧
奈良県天理市にある大型前方後円墳「東大寺山古墳」の出土品で、東大寺からはかなり遠いですが、かつて東大寺の領地だったようです。

国宝『江田船山古墳出土品』東京国立博物館
・鉄衝角付胄
・頸甲
・横矧板鋲留短甲
5世紀後半~6世紀初頭に熊本県北西部作られた前方後円墳「江田船山古墳」の出土品です。 埴輪はありませんが、当時の権力者の装いとして3点が公開されていて、挂甲の武人なんかが身に着けているのは、こういった防具を参考にしたんだろうと思います。

国宝『綿貫観音山古墳出土品』群馬県立歴史博物館
前期(1/21~3/16)
・金銅製鈴付大帯
・埴輪 挂甲の武人
・埴輪 あぐらの男子
後期(3/18~5/11)
・金銀装頭椎大刀
・金銅製環状鏡板付轡
・埴輪 正座の女子
2020年に国宝に指定されたのは、群馬県の綿貫観音山古墳から出土した埴輪と副葬品で、見事な装飾品を実物と埴輪で観ることができます。 群馬県立歴史博物館で常設展示されていますが、九州から観に行くのはなかなか難しいと思うので、ぜひこの機会にご覧ください。

文化交流展示室(通常展)で観られる国宝
九州国立博物館には「文化交流展示室」という通常展があり、こちらでも複数の国宝が公開されています。 国宝以外にも、九州の遺跡や古墳から出土したものが多数展示されているので、特別展だけではもったいない博物館です。
国宝『宗像大社沖津宮祭祀遺跡出土品』[宗像大社/福岡]
「半円方形帯画像鏡」「鉄鏃」など十数点、3/23までとそれ以降で展示替えがある模様
国宝『宮地嶽古墳出土品』[宮地嶽神社/福岡]
展示中~2/16「蓋付鋺」「承盤」
展示中~4/6「金銅製杏葉」
国宝『梵鐘』[観世音寺/福岡]
1/1~3/30
国宝『太刀 銘 来国光』
2/11~4/6
国宝『銅筥・銅板法華経』[国玉神社/福岡]
展覧会 概要
日程:2025/1/21~5/11
休館:月曜日(祝日は開館)、2/25、5/7
時間:9:30~17:00(入館は30分前まで)
夜間:金土は20時まで(入館は30分前まで)
料金:一般¥2,000、高大生¥1,200、小中生¥800
※このページの写真は、東京国立博物館で撮影したものです。