国宝『志野茶碗 卯花墻(うのはながき)』
三井記念美術館には茶道具のコレクションも多く、比較的観られる機会は多い。 抹茶椀の国宝はいくつもあるが、国産の国宝指定は『白楽茶碗(銘不二山)本阿弥光悦作』とこの椀の2点のみ。 江戸時代には江戸の豪商「冬木家」が所蔵していたが、明治20年代に三井家の所有となる。
現在の岐阜県にあたる美濃で焼かれたもので、鉄分の少ないピンクがかった白土に「志野釉」と呼ばれる白釉を厚めにかけられる。 軸が厚い部分には気泡のような穴が多く出来、薄い縁の部分などは赤みが出ている。
ゆがみのあるフォルムに「垣根」のような縦横の線模様が入っており、箱裏には「やまさとのうのは那がきのなかつみちゆきふみわけしここ地こそすれ」の歌が書かれている。
この国宝の画像は
三井記念美術館のWebサイト「コレクション」で画像が見られます
この国宝を観るには
三井記念美術館での特別展に年に一度程度出展される他、他の美術館・博物館への出展もある。
公式サイト http://www.mitsui-museum.jp/index.html
住所 東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7階
アクセス メトロ「三越前駅」「日本橋駅」徒歩数分、
JR「東京駅(日本橋口)」徒歩7分、「神田駅」徒歩6分
開館時間 10:00~17:00(入館は~16:30)
公開履歴
2024/4/18~6/16 三井記念美術館「茶の湯の美学」
2022/10/8~12/4 京都国立博物館「京に生きる文化-茶の湯-」
2022/7/9~9/19 三井記念美術館「茶の湯の陶磁器」
2021/7/10~8/22 三井記念美術館「自然が彩る かたちとこころ」
2020/10/6~11/29 東京国立博物館「桃山-天下人の100年」
2020/7/1~8/31 三井記念美術館「三井家が伝えた名品・優品」
2019/12/14~2020/1/30 三井記念美術館「国宝 雪松図と明治天皇への献茶」
2019/9/4~11/10 サントリー美術館「美濃の茶陶」
2018/12/13~2019/1/31 三井記念美術館「雪松図と動物アート」
2018/10/30~12/4 根津美術館「新・桃山の茶陶」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-521
出典:国指定文化財等データベース一部抜
【指定番号】00225-0
【指定名称】志野茶碗〈銘卯花墻/〉
【ふりがな】しのちゃわん〈めいうのはながき〉
【員数】1口
【寸法・重量】高9.5cm、口径11.8cm、高台径6.05,cm
【画賛・奥書】内箱:桐白木面取、書付:伝片桐石州、表:卯花墻、裏:紙地「やまさとのうのは那かきのなかつみちゆきふみわけしこゝ地こそすれ」、外箱:樫錠前付
【品質・形状】素地は卵殻色の俗に言う百草土、白濁半透性のいわゆる志野釉が厚くかかり、口辺その他施釉の薄い部分は赤くこげている。全面に荒い貫入があり、底裏無釉、轆轤による成形だが、これを歪ませ、また篦を入れ、手造りのように見える。釉下に鉄絵具で、奔放な縦横の筋をいれてあるが、銘印はない。樋三本、見込みひっつき一箇所。
【国・時代】日本・桃山時代
【伝来】冬木家-山田喜之助-室町三井家
【所有者】三井記念美術館
【重文指定日】1955.02.02
【国宝指定日】1959.06.27
【説明】志野随一の名碗として知られる。天正年間に大萱牟田洞で作られたものと推定され、志野の代表的名作として有名なものである。
鑑賞ログ 2018年12月
この椀を所蔵する「三井記念美術館」での展示。 この美術館には一時期三井家のものだった国宝の茶室『如庵』の内部を模した茶室の展示コーナーがあって、今回はそこでの展示でした。 とはいえ国宝なので、畳に直接置くのではなく板には乗せられていた。
手びねりかと思ったら、ろくろで作ったものを歪ませたようで、写真で見るよりも繊細な印象でした。