国宝『釈迦如来立像・像内納入品一切』
釈迦が37歳の時のお姿をうつした像だといわれる像で、内部からは布で作った「五臓六腑」や「願文」「経巻」等が発見され、それらも追加で国宝指定されている。インドの優填王(うでんおう、ウダヤナ)が、在世中の釈迦を模して造らせた「優填王思慕像」を、東大寺の僧「奝然(ちょうねん)」が五台山を巡礼した際に、模刻を作らせて日本に招来した。
インド~中国を経て日本に伝わったため、「三国伝来の釈迦像」と呼ばれて信仰が厚い。 江戸時代には、出開帳も行われており、本堂内には出開帳の際にご本尊を納めて運んだ長持のような入れ物も展示されている。
像は160cmほどで、エキゾチックな顔立ちに、衣文が細かく左右対象で表わされている。 頭髪は日本の如来で一般的な「螺髪」ではなく縄を編んだような形をしており、これはガンダーラ仏の様式に近い。 この像様は「清凉寺式釈迦像」と呼ばれ、日本各地に模像がある。
像内納入物は、1954年に像の背板を外した時に発見されたもので、招来した奝然による写経や遺品のほか、絹布で作られた「五臓六腑」が見つかり、1,000年も前の内臓模型として医学誌的にも貴重な資料とされる。 現在は「五臓六腑」の現物は釈迦像の像内に戻されており、本堂内や霊宝館では復元したものが観られる。
像内納入品一覧
入宋求法巡礼行並瑞像造立記(僧鑑端書)
入端像五臓具記捨物注文(奝然自署)
細字金光明最勝王経(奝然自署)
細字法華経
版本金剛般若波羅蜜経
版画霊山変相図
版画弥勒菩薩像(高文進画)
版画文殊菩薩騎獅像
版画普賢菩薩騎象像
義蔵奝然結縁手印状(義蔵奝然自書)
奝然繋念人交名帳(粘葉装)
捨銭結縁交名記
捨銭結縁交名記(断簡)
奝然生誕書付(承平八年正月廿四日云々)
絹製五臓
線刻水月観音鏡像(絹紐付)
菩提念珠
娑羅樹葉片
水晶珠
瑠璃製耳璫
方解石
中国銅銭
銅製鈴子
銀製釧子
玻璃器
雲母製幢
平絹片
この国宝を観るには
釈迦像は通常非公開で、毎月8日と4・5月、10・11月に公開されるほか、法要などで不定期にご開帳される場合もある。
2018年夏時点の情報だが、非公開時でも¥1,000以上のお布施で特別にご開帳して頂け、これは太鼓を鳴らしながら厨子の前に垂らされている布を上げて頂ける。
寺外での公開
2025/5/20~6/15 奈良国立博物館「超・国宝-祈りのかがやき-」
2024/9/28~10/14 三井記念美術館「バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰」納入品の「弥勒菩薩像」のみ
2024/4/20~5/6 龍谷ミュージアム「文明の十字路・バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰」納入品の「弥勒菩薩像」のみ
2023/11/3~12/3 根津美術館「北宋書画精華」納入品の「霊山変相図」「弥勒菩薩像」のみ
2023/4/15~5/14 東北歴史博物館「悠久の絆 奈良・東北のみほとけ展」納入品の「霊山変相図」のみ
清凉寺の国宝
文化財指定データ
【台帳・管理ID 】 201-11037
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号 】 00094-02
【指定名称 】 像内納入品一切
【ふりがな 】 ぞうないのうにゅうひんいっさい
【国・時代 】 中国・北宋時代(985年、修理銘1218年)
【ト書 】 背板裏に大宋国台州張延皎并弟延襲雕、反花座表に唐国台州開元寺、僧保寧の刻銘がある/蓮弁葺軸底に建保六年大仏師法眼快慶修造の墨書銘がある
【作者 】 張延皎并張延襲
【所在地 】 清凉寺
【国宝指定日 】 1955.06.22
【追加年月日 】 2017.09.15
清凉寺(嵯峨釈迦堂)のご朱印
ついでにグルメ
清凉寺仁王門前の道を東に数十メートルのところにある豆腐の名店「森嘉(もりか)」は、奥に職人さん達が働く姿が見える町工場のようです。 店先では物販もしていて、ひっきりなしに車が止まり豆腐を買っていきますが、旅行だとあきらめますよね。
1点だけその場で食べられる「ひろうす」は「がんもどき」のことで、揚げたてのアツアツにお塩を付けてくれます。 1つ二百円越えで少し高く感じますが、銀杏をたっぷりの百合根でくるんである贅沢なもので、むしろお買い得なのでは。
鑑賞ログ
2018年11月
霊宝館なども公開される秋の特別公開なので、夏よりもやや混んでいます。 他の人が板敷のお坊さんが正面に座る少し高い台の近くまで行っていて、そこまで入っていいことを知り、そこまで行ってみるとかなり近くでよく観ることができました。
2018年8月
夏の京都旅行で訪問。公開時期ではないので¥1,000払っても拝ませて頂こうと思っていたら、その日は行事だか法事があったとかですでにご開帳されていました。 人が少なく本堂の中でのんびり過ごさせて頂きます。 寸志の「一文字写経」は般若心経から好きな一時を筆ペンで大きく書いて、願い事と氏名を書くという手軽なもの。 これも釈迦像が見えるところで書くのでありがたみがあります。