国宝『七条刺納袈裟・刺納衣』
伝教大師最澄が入唐した時に、師の行満から譲り受けたもので、袈裟は行満の師で天台宗の第六祖とされる「湛然(荊渓とも)」の所用、衣は天台宗の実質的な開祖「智顗(天台大師)」の所用だと伝わる。 刺納(しのう)は刺し子のような技法で、七条袈裟は枠のように囲まれた部分が7つ(七条)ある袈裟で、様々な色の麻で作られている。 刺納衣は、前後の身頃と袖の一部しか残っていないが、布地を継ぎ合わせて刺し子を施している。
この国宝を観るには
繊維類は劣化のリスクが大きいため公開が少なく、この袈裟と衣もあまり公開されない。 国立博物館での特別展などで公開されることがある。
公開履歴
2022/9/23~12/4 延暦寺 霊宝殿「比叡の霊宝」前期:刺納衣、後期:袈裟
2022/4/12~5/22 京都国立博物館「最澄と天台宗のすべて」前期:袈裟、後期:刺納衣
2017/10/3~10/29 京都国立博物館「国宝展」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-548
【指定番号】00249-01
【指定名称】七条刺納袈裟
【ふりがな】しちじょうしのうけさ
【員数】1領
【時代・年】唐時代
【台帳・管理ID】201-549
【指定番号】00249-02
【指定名称】刺納衣〈/(伝教大師将来)〉
【ふりがな】しのうえ(でんきょうだいししょうらい)
【員数】1領
【時代・年】随時代
【種別】工芸品
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【国】中国
【所有者】延暦寺
【重文指定日】1964.05.26
【国宝指定日】1966.06.11
【説明】中国の天台宗第六祖・荊溪【けいけい】大師所用と記され、古くより伝教大師が唐より請来したと伝えられている。「刺納【しのう】」の刺は刺繍【ししゆう】、納は補綴の意味で、いわばさしこの七条の袈裟と僧衣のことである。袈裟は麻地に浅紅、縹【はなだ】、茶、白、各色の麻糸のかたまりや、紫の麻裂をところどころに刺繍したもので、配色もあざやかで、保存もよい。麻製のものは正倉院や法隆寺にもなく、稀有【けう】の遺品である。刺納衣は、平絹の地に各色の裂を刺繍したもので宗祖、天台大師所用と伝えられている。