国宝『ポルトガル国印度副王信書』
豊臣秀吉は、天正19年(1591年)に聚楽第において、イエズス会の宣教師「アレッサンドロ・ヴァリニャーノ」と面会した。 その際に、武具などの贈り物と共に献上された、ポルトガル国インド副王「ドゥアルテ・デ・メネーゼス」からの書簡。 秀吉を祭神とする豊国神社に伝わったが、同社が廃された時に、妙法院に移された。
羊の革を伸ばして、紙のように文書を書けるうようにした「羊皮紙」に、ポルトガル語で書かれた書簡で、文書の最後には書かれた年の1588年と記され、直筆の署名が入っている。 この年記は、最初1587年と書かれた形跡があり、ヴァリニャーノ一行の出発が遅れたために、7を8に書き換えたと思われる。 内容は、前半は秀吉の事績を褒めたたえ、後半は宣教師の布教への協力依頼が記されている。
妙法院のこと
京都国立博物館の東、智積院の北にある天台宗の寺院、皇族や高位の公家が住持を務める「門跡寺院」で、江戸時代までは法親王が住持となっていた。 一時は秀吉が大仏殿を建立した方広寺を管理下とし、現在でも三十三間堂は妙法院の管轄である。 僧たちの食事を整えた、寺の台所「庫裏」が国宝に指定されている。
この国宝を観るには
京都国立博物館に寄託されている。 妙法院は、建物内部の拝観を受け付けていないが、特別公開などで公開する場合に、まれに里帰り展示されることがある。 機会はそれほど多くないが、京都国立博物館でも公開されることがある。
公開履歴
2021/8/24~9/12 京都国立博物館「京の国宝」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-808
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00034-00
【種別】古文書
【指定名称】ポルトガル国印度副王信書(羊皮紙)
【ふりがな】ぽるとがるこくいんどふくおうしんしょ
【員数】1通
【時代・年】1588年
【ト書】西暦千五百八十八年 四月豊臣秀吉宛
【所有者】妙法院
【国宝指定日】1955.06.22
※このページの写真は、国立歴史民俗博物館の複製品の写真です