鎮壇具とは
鎮壇具とは、寺院などを建立する際に、地鎮のために堂宇の下に埋められたもの。 奈良時代に埋められたものは、金や玉などの財宝や金属製の鉢など調度品が多く、平安時代になると仏経典により五穀(大麦、小麦、稲、胡麻、小豆)七宝(金、銀、真珠、珊瑚、琥珀、水晶、瑠璃)となった。
国宝『東大寺金堂鎭壇具』
明治40~41年(1907~1908年)に東大寺の金堂(大仏殿)の盧舎那仏坐像(奈良の大仏)の須弥壇近くから発掘されたもので、一括で国宝に指定されている。 6口の大刀や鏡、水晶や琥珀など宝玉類、容器類など、正倉院宝物に近しい宝物が多い。
金銀荘大刀2口は、平成22年(2010年)のX線による調査で、刀身に「陽剣」「陰剣」の象嵌銘が発見された。 これは、正倉院の「国家珍宝帳」に記録される「陰寶劔(陰宝剣)」「陽寶劔(陽宝剣)」だと考えられる。 この2点は「除物」の記録があり、聖武天皇の遺愛の品を光明皇后が取り出して、埋納したと想像される。
国宝指定の内容
銀製鍍金狩猟文小壺 1合
金鈿荘大刀 3口
金銀荘大刀 2口
銀荘大刀 1口
瑞花六花鏡 1面
銀製鍍金蝉形サ子(宝相華透彫座金付)1箇
漆皮箱残片 一括
水晶合子(真珠4箇入)1合
水晶合子(真珠8箇入)1合
水晶玉 22顆
琥珀玉類 一括
ガラス玉類 一括
水晶 一括
挂甲残闕 一括
刀子残闕 一括
東大寺以外にも国宝の鎮壇具があります
興福寺金堂鎮壇具[東京国立博物館]
興福寺金堂鎮壇具[興福寺/奈良]
この国宝を観るには
東大寺の南大門近くにある「東大寺ミュージアム」で一部が公開されている。 奈良国立博物館などで公開されることもある。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-00855
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00022-00
【種別】考古資料
【指定名称】東大寺金堂鎭壇具
【ふりがな】とうだいじこんどうちんだんぐ
【時代・年】750年頃
【所有者】東大寺
【国宝指定日】1957.02.19
鑑賞ログ
2019年5月
東大寺ミュージアムを入ると、最初にこの鎮壇具が展示されています。 装飾された刀剣はとても細かい細工で、一部は復元したものを一緒に展示してあるので、当時の様子が偲べて素晴らしい。 陰陽剣は、かなり前にTVか何かで、光明皇后が亡くなった聖武天皇を偲んで、正倉院から取り出して埋納したと見た気がします。 遺愛の品だったんだそうです。