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情報|MIHO MUSEUM「奈良大和路のみほとけ」2024/7/6~9/1[滋賀]

情報-博物館・美術館

奈良大和路のみほとけ 展

4~6月に山口県立美術館で開催、9~11月は山梨県立博物館に巡回する展覧会で、奈良の古刹の仏像がたくさん集められています。 山口会場の国宝仏は、夢違観音と試みの大仏の2躯でしたが、MIHOミュージアムには薬師寺東院堂の観音像もお出ましになり、法隆寺の天蓋の小像2点を入れると4件5点の国宝が展示されます。 展示替えがありますので、7/21までならすべての国宝を観ることができます。

国宝以外にも、3月しか公開されない大安寺の秘仏の馬頭観音像や、法徳寺に寄進された仏像群から興福寺千体仏や文殊菩薩像など、なかなかお目にかかれない仏像にたくさん出会えます。

MIHO MUSEUMは信楽の山の中にあって行くのにも時間がかかる上に、エントランスからは長いトンネルと吊り橋を渡って展示棟に移動しますので、時間には余裕をみましょう

MIHO MUSEUM「奈良大和路のみほとけ」チラシ

この展覧会で観られる国宝

国宝『観音菩薩立像』[薬師寺/奈良]通期

飛鳥時代に鋳型を使って作られた銅像仏で、薬師寺の東南角に建つ東院堂の本尊です。 堂々とした体に薄い衣が見事な美物で、普段はお厨子の中で遠くからしか観られませんので、近くで観られる貴重な機会だと思います。 こちらの写真は、東京国立博物館にある現物から型を取って作られた模像で、実物よりもかなり赤みが強いですが、実物は深い黒色です。

国宝『観音菩薩立像』薬師寺東院堂 の模造

国宝『木造天蓋』[法隆寺/奈良]通期

法隆寺の国宝『金堂』は、建物だけでなく中に安置される『薬師如来坐像』『四天王立像』『毘沙門天立像・吉祥天立像』の他、天井につるされた『木造天蓋』も国宝に指定されています。 この天蓋は台座に相当する大きさの方形で、ガラス製のビーズで装飾された豪華なものです。 周囲には天人や鳳凰の小像が取り付けられていて、今回は「飛天」と「鳳凰」が1躯ずつ公開されます。 飛天像はのぺっとしたお顔のかわいらしい仏像です。

国宝『弥勒仏坐像(試みの大仏)』[東大寺/奈良]7/6~7/21

像高39cmの座像で、東大寺の大仏を作る時に試作として作られたという伝承があるため「試みの大仏」と呼ばれていますが、実際に作られたのは平安時代初期頃だということです。 榧(カヤ)で作られていて、香木で作る「檀像」のように、表面に漆や金箔を施さずに、木地のままで唇だけ彩色されています。 写真だといかめしい感じがしますが、実際に向き合うとほっこりしたお像です。 こちらだけ展示期間が短いのでご注意ください。

国宝『夢違観音』[法隆寺/奈良]7/6~8/4

1m弱の銅造仏で、悪い夢を吉夢に変えてくれるという伝説があるので、夢違(ゆめちがい、ゆめたがえ)観音と呼ばれています。 普段は法隆寺の大宝蔵院に安置されているのでいつでも観られますが、お出ましは珍しいのではないでしょうか。 こちらは前期のみ8/4までの公開です。

展覧会 概要

日程:2024/7/6~9/1
休館:月曜日(7/15と8/12は開館し、翌火曜が休館)
時間:10:00~17:00(入館は1時間前まで)
料金:一般¥1,300、大高生¥1,000、中学生以下無料  

MIHO MUSEUM 公式サイト

MIHO MUSEUMのついでに国宝巡り

MIHO MUSEUMは信楽の山の中にあるので、近所の方というのは少なそうで、距離の遠近はありつつ大半の方が遠征になるのではと思います。 せっかくですから、近隣の国宝巡りもあわせてみてはいかがでしょうか。 滋賀県は古い寺社がたくさん残っていますので、夏の旅行先にもいいかもしれません。 国宝MAPにまとめてありますので、計画の参考になさってください。

自家用車の方におすすめ

MIHO MUSEUMから北に30~40分ほど走ると、JR草津線を挟んで湖南三山のある湖南市に着きます。 湖南三山は、湖南市にある常楽寺・長寿寺・善水寺の3寺のことで、3か所とも本堂が国宝に指定されています。 紅葉の時期にはイベントが開かれてにぎやかですが、今の時期はきっと落ち着いた雰囲気を味わえるのではないかと思います。

常楽寺

常楽寺は「西寺(にしでら)」の愛称で地元の方から親しまれる古刹で『本堂』と『三重塔』が国宝に指定されています。 こちらは紅葉シーズン以外は要予約のようで、2024年7月時点でホームページを確認すると、土日祝はいらっしゃることが多いようですが電話確認推奨、平日は要予約なようです。 石仏の点在する散策道を歩くと、本堂や三重塔を四方から拝見することができます。

長寿寺

常楽寺の「西寺」に対して「東寺」と呼ばれる長寿寺は、聖武天皇の勅願によって建てられ、源頼朝や足利将軍家の祈願所だった古刹です。 国宝の『本堂』は、双堂形式という珍しい形式で建てられています。 門から本堂までの参道がとても雰囲気のいいお寺です。

善水寺

国宝『本堂』の横に池がある美しい寺で、この池から現れた薬師如来に最澄が祈願したんだそうです。 その後、桓武天皇が病の時に池の水を7日間祈願して献上したら快癒したので「善水寺」の号が授けられたんだそうです。 池は写真のように庭園風にきれいにされていて、季節の花を楽しめるようになっています。

公共交通を使う方におすすめ

MIHO MUSEUMへの公共交通は、JRの石山駅から1時間に1本のバスで約50分と、お世辞にも交通の便がいいとは言えません。 行きと帰りのバスの時間をチェックして、バスに合わせて観覧時間の調整も必須です。 石山といえば「光る君へ」で盛り上がる石山寺ですが、石山駅は石山寺の最寄り駅ではありません。 バスか京阪での移動なので少し時間がかかります。 石山から琵琶湖の左岸を北上すると、天台宗寺門派総本山の三井寺があります。 どちらも見ごたえのある大寺院で、寺内や周辺にカフェなどもあるので、ゆったりめに時間を取ってください。

石山寺

紫式部が石山寺に参籠したときに、名月を見て源氏物語の構想を得たという伝承があって、国宝『本堂』では紫式部の人形が執筆の様子を再現しています。 石山寺にはもう1件『多宝塔』という国宝建築物があります。 源頼朝が寄進したという鎌倉時代初期の建物で、石山の名前の通り、石が積み重なる上に建つ多宝塔を下から眺めると大迫力です。

国宝『石山寺 本堂』

三井寺

天智・天武・持統の3天皇が産湯を使った井戸があるので御井の寺=三井寺となったという伝承のある三井寺は、正式名称を園城寺(おんじょうじ)といいます。 北政所が再建した国宝『金堂』と、追加料金が必要ですが、文化財収蔵庫では7/31まで国宝『智証大師関係文書典籍』も公開されています。 境内を出て高校や市役所を挟んで500mほど北に行ったあたりは北院エリアで、国宝『新羅善神堂』が残っています。

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