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鑑賞ログ|東京国立博物館「京都大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」2018年10月

国宝じゃないけど

平成館の3・4室、いつもの特別展の半分のスペースで、マルセルデュシャン展と同時開催のような形でした。この特別展には『国宝』の出展はありませんが、内容のギュッとした企画展でした。

この展示に国宝はないのですが、大報恩寺=通称「千本釈迦堂」の本堂は国宝指定されています。 京都市内の国宝建造物の中では最古のようですね。 実は、5~6年前の夏に台風が近づく中でお参りに行ったことがあるんです。 ちょうど六道参りの時期で、ご本尊の手から紐というか布がお賽銭箱の前あたりに垂れていて、それでお釈迦さまとご縁ができるということらしいです。 これを書くのに調べたら、ご本尊が開帳されるのはこの時期だけ!? 今回拝見したご本尊を超レアな機会にお参りしていたとは、ビックリしました。

今回の特別展のことを聞いた時に「ん?あのお寺だけで企画展って可能?」と失礼ながら心配したのですが、展示の前半は大報恩寺の成り立ちというか、中世頃の北野の様子などの資料が中心でした。 大報恩寺の近くに「経王堂」というとても大きなお堂があったようなのです。 洛中洛外図屏風などでも「大報恩寺」「北野天満宮」「経王堂」が同じくらいのボリュームで描かれています。 そのお堂の文物も大報恩寺に引き継がれたものがあるようですね。

と言っても、今回の展示のメインは、行快作の秘仏ご本尊「釈迦如来坐像」と快慶作の「十大弟子立像」、それから肥後定慶作の「六観音菩薩像」です。

資料が中心の第1エリアを抜けると、釈迦と十大弟子のコーナーです。 ガラス無しで至近距離でみせて頂けるのはとてもありがたい。 しかも、横に広いホールの中心に釈迦如来坐像を安置して、その左右に5体ずつバラけた場所に弟子像を配置しています。 像の間は十分な空間がとってあるので、いろんな方向からじっくり見ても後ろの人にせっつかれたりする心配はありません! 気に入れば何周でもぐるぐる見入っていられます。 像は1mほどですが、台を含めると2mちょっとくらいでしょうか? やや見上げる形になりますが、快慶らしい目力やそれぞれに個性のある表情を堪能できます。 そして、出品目録の裏表紙には、十大弟子の特徴をまとめた写真入りの資料が!学芸員さんありがとう!!

そして、第3の部屋は「六観音菩薩像」ですが、とても大きいんですよ。 光背を入れると2m以上はあります。 そして東博の超おしゃれライティングによって、後ろの赤い背景に後輩がレースのように映し出されていました。 こちらも後ろに回ってぐるぐる観られるので大満足。 仏像は、その置かれていた場所で観るのも雰囲気があっていいですが、博物館だとこうやって近くや後ろからじっくり観られていいですよね。 聖観音のみ撮影可能!

肥後定慶はこれの他に印象がなかったのですが、鞍馬寺の聖観音や、東京芸大所蔵の毘沙門天があるようですね。 機会があったら観てみたいですね。 目は慶派らしくキッと切れ長するどい系ですが、ちょっとふっくらと柔和な感じがします。 解説の通りドレープがとても優雅でした。 ふっくら顔でレースのような光背にたわわなドレープと、どっしりしつつも女性的でエレガントな観音さまでした。

10/30からの後期展示では、六観音の光背が外されるらしいです。 あのレースの影絵がなくなるのはさみしいですが、きっととっても優雅な背中のラインをしてるんだろうなぁ。 そして、この柔らかい表情の十一面観音の後ろの暴悪大笑面も観てみたいな~と、悩んでいるところです。

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