草戸千軒町と明王院
鎌倉~室町時代にかけて、現在の広島県福山市に発展した都市で、福山駅の西を流れるの河川敷から発掘された。 数度に渡る洪水で水没したと古文書などで伝わる。 木簡や生活用品など当時の生活を知る遺物が多数出土し、港町らしく唐渡りの陶磁器などもみられ、草戸千軒ミュージアムで公開されている。
明王院は、芦田川に近い愛宕山の中腹に位置し、弘法大師空海が大同2年(807年)に開いた「常福寺」を前身とする。 草戸千軒町は、常福寺とその隣に建つ草戸稲荷神社との門前町として発展し、商業の盛んな交通の要所ということもあり常福寺も栄え、五重塔は人々の浄財で建立されている。 江戸時代に入ると代々の福山藩主に庇護され、藩主の祈願所だった明王院を合併し、現在は元の常福寺が明王院となっている。
国宝『本堂』
全体的には日本古来の様式「和様」だが、随所に当時日本に伝わって間もない「大仏様」「禅宗様」の特徴がみられる「折衷様」とされる。 内陣の墨書によって、元応3年(1321年)に建立されたことが判明しており、折衷様としては最古級の建造物である。
この国宝を観るには
拝観時間内ならいつでも参拝可能で、隣には国宝『五重塔』が建つ。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】102-3142
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00215
【種別】近世以前/寺院
【指定名称】明王院本堂
【ふりがな】みょうおういんほんどう
【員数】1棟
【時代・年】元応3年(1321年)
【構造・形式】桁行五間、梁間五間、一重、入母屋造、向拝一間、本瓦葺
【附指定】厨子1基、棟札3枚
【所在地】広島県福山市草戸町
【国宝指定日】1964.05.26
【説明】元応三年(一三二一)に建立された堂である。鎌倉時代本堂の優作のひとつであって、その様式が和様に唐様(禅宗建築の様式)を混じている古い例であって、様式混合の時期を示す基準となる作である。