天平礼賛 展
「天平(てんぴょう)」は、聖武天皇が即位して6年目の729年~749年まで使用された元号です。 その後も「天平感宝」「天平勝宝」、御位が皇女の孝謙天皇に譲られたのちも「天平宝字」「天平神護」と、天平のつく元号は767年まで続きました。 この時代は、正倉院宝物などにみられる天平文化が栄えた時代で、奈良時代の文化を指す言葉としても使われます。
まずは、螺鈿細工が美しい漆工品や、銅製の仏像や鏡など、日本の美術史上でも最高峰と評価する人も多い、天平時代の美術品が並びます。 続いて、国宝や重要文化財が並ぶ古写経、仏教関連の古瓦と共に、墓誌や骨蔵器など弔いに関するものも展示されます。
後半は、後世の人たちの天平文化に対する憧憬や模倣で、後世の人たちが生地を集めた古裂帳や、古筆を数行ずつ貼って手本にした手鑑などの蒐集品。 当麻曼陀羅のように語り継がれた物語や、伝説的な珍品として有力者に珍重された蘭奢待に関する記録も集められているようです。 こういった展覧会では珍しく、近現代の絵画作品や写真が展示されるのは、珍しいですが楽しみですね。
この展覧会で観られる国宝
金銅石川年足墓誌[個人蔵]
大阪府高規市の墳墓から発見された金銅製の墓誌で、天平勝宝頃に埋葬されたようです。 個人の所有品で、大阪歴史博物館に寄託されていますが、あまり公開されないので貴重な機会です。 東博ではレプリカが展示されることがあります。
紫紙金字金光明最勝王経[奈良国立博物館]
聖武天皇が各国に建立した国分寺に奉納した経典で、金泥で書写して猪の牙で磨いていて、現在でもとても美しく金色に輝いています。 奈良国立博物館の、冬の展示で公開されることが多いです。
賢愚経残巻(大聖武)[白鶴美術館/兵庫]
聖武天皇が書写したという伝承があり、普通の写経より大きな文字で書かれるので「大聖武」と呼ばれる写経で、古筆のコレクションブック「手鑑」の巻頭にわずか数行でも貼ると、手鑑に箔が付くという名品です。
手鑑 藻塩草[京都国立博物館]
前期(10/27~11/16)のみ
4大手鑑の1つで、現在は京都国立博物館に所蔵される「藻塩草」は、書の鑑定をした「古筆家」に伝わったものです。
千手千眼陀羅尼経残巻(玄昉願経)[京都国立博物館]
後期(11/17~12/13)
入唐僧の玄昉は、玄宗皇帝から紫衣を授かり、宮中でも権勢をふるいましたが、藤原氏の台頭で失脚してしまいます。 天平13年(741年)に玄昉が発願して、1,000巻が書写されましたが、長く失われていて存在自体が疑われた時代もあったようです。
展覧会 概要
期間:2020/10/27~12/13
休館:月曜日(11/2・11/23は開館、11/24は休館)
時間:9:30~17:00(入館は30分前まで)
料金:一般¥1,500、高大生¥1,200