中宮寺のこと
奈良斑鳩の法隆寺に隣接する「中宮寺(ちゅうぐうじ)」は、法隆寺と同じ飛鳥時代頃の創建で、法隆寺とは男性僧と尼僧(女性僧)で分かれていたと考えられています。 聖徳太子が、母で用明天皇の皇后だった穴穂部間人皇女(あなほべのはしひとひめみこ)没後に御所を寺に改めたもので、ご本尊も尼寺にぴったりな優しい表情をしています。
平安時代頃には一時衰退したようですが、鎌倉時代には信如尼によって再興され、現在は国宝に指定されている『天寿国繡帳』の修復など、文化財の保護も行われました。 16世紀に伏見宮家から姫君が入寺すると、以降は尼門跡寺院となり、現在は公家の日野西家から入寺した、日野西光尊門跡が住職をつとめるという由緒正しい寺院です。
奈良・中宮寺の国宝展
東日本大震災復興祈念として、東北地方では初めて中宮寺の本尊『菩薩半跏像(伝如意輪観音)』が公開されます。 中宮寺ご本尊のおだやかな微笑は、古くから人々の心を癒してきたのだと思われますので、復興祈念にはぴったりですね。 中宮寺では正面から座って拝観するのですが、今回はガラスなしの360度展示なので、美しい横顔や穏やかな背中など、普段は観ることのできない角度から拝見できます。
聖徳太子の菩提を弔うために作られた『天寿国繡帳』は、いつも中宮寺で公開されているレプリカでしょうか、関連資料の公開もあるようです。 他には、中宮寺の中興の祖とされる信如尼ゆかりの仏像や絵画、代々の御門跡ゆかりの寺宝が公開されます。 中宮寺には宝物館などがなく、法隆寺のように定期的な公開がないので、この機会はとても貴重な機会だと思います。
この展覧会は、宮城県美術館の後に九州国立博物館に巡回があり、5か月ほど中宮寺をお留守にされますが、実はこの期間中に本堂の改修工事が行われるんです。 中宮寺の本堂は、池の中に浮かぶ鉄筋コンクリート造のお堂で、昭和43年(1968年)に高松宮妃殿下の発願によって建立されました。 築後50年が経ち、老朽化が目立つようになったので、修復工事が行われるようです。 尼寺に相応しい水に浮かぶ優美なお堂が、美しくよみがえるのが楽しみです。
この展覧会で観られる国宝
展覧会 概要
期間:2020/11/12~2021/1/12
休館:月曜日(11/23・1/11は開館)11/24、12/28~1/4
時間:9:30~17:00(入館は30分前まで)
料金:一般¥1,500、学生¥1,300、小~高校生¥750
宮城県美術館 公式サイト