国宝『千手観音立像(旧食堂安置)』
鎌倉時代に作られた高さ5mを超える千手観音像で、興福寺と縁の深い慶派仏師の特徴がみられ、明治頃まで食堂(じきどう)に安置されていた。 中央で合掌する1組を覗くと、1つが25の救済を表す手が左右あわせて40あり、これを掛けると1,000になる。 内部には仏像や経典など多数の納入品が収められており、その銘は建保5年(1217年)から寛喜元年(1229年)まである。
附指定「像内納入品」
木製五輪塔 1基
梵字千手観音小咒鏡〈蓮台付/(秋草双鳥鏡)〉1基
銅造観音菩薩立像 1躯
銅造千手観音立像 2躯
大般若経巻第五百七十八・千手千眼陀羅尼経 合1冊
般若心経 3巻
千手観音摺仏 2,428枚
著色毘沙門天像及同印仏 1幅
毘沙門天印仏 820枚
版本千手千眼陀羅尼 46巻
奉加結縁交名 1巻
この国宝を観るには
興福寺国宝館の中央に安置されており、国宝館の本尊のような存在感を放つ。 開館時間内であれば、いつでも観ることができる。
9:00~17:00(入館は16:45まで)
原則として年中無休
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-279
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00115-00
【種別】彫刻
【指定名称】木造千手観音立像(旧食堂安置)
【ふりがな】もくぞうせんじゅかんのんりゅうぞう
【員数】1躯
【国】日本
【時代・年】鎌倉時代
【ト書】像内に睿湛大法師、尼定阿弥陀仏、僧定増法師、祇徳丸等の名がある
【重文指定日】1902.04.17
【国宝指定日】1967.06.15
【説明】鎌倉初期の南都復興の最後を飾る木彫の巨像で、明治初年まで興福寺食堂の本尊であったが、現在は新収蔵庫の中央に安置されている。五メートル二〇センチの巨体が堂々と立つ姿は壮観で、その作風は南都復興時に活躍した慶派の様式が顕著である。なお像内には奈良時代の小金銅仏をはじめ鎌倉造像当時の鏡、経巻、印仏など多数の納入品があり、いずれも造立事情を物語る貴重なものとして、今回附【つけたり】にした。