池大雅 展
江戸絵画を得意とする出光美術館の早春の展覧会は、日本の文人画を代表する「池大雅(いけのたいが)」の生誕300年を記念した展覧会です。 中国発祥の文人画は、絵を職業としない文化的な人物(文人)が描いた絵で、理想の田舎暮らしが多く描かれます。 日本では独自の発展をしますが、詳しくは展覧会のキャプションや図録をご覧ください。 この展覧会では、池大雅の国指定文化財(国宝3件・重要文化財13件)の半数以上という国宝2件と重文8件が公開されるのだそうで、これだけ充実した展覧会も珍しいのではないでしょうか。
そして、気になるもう1件の国宝は、高野山の遍照光院が所有する『山水人物図』で、遍照光院の火災をくぐり抜けて残った10面の襖絵です。 これがかなりのレア国宝で、ざっと調べたところ、2012年に高野山霊宝館、2004年に東博と公開がとても少なく、今回も期待していたのですが、ラインナップに入っていませんでした。
話が展覧会からそれてしまいましたが、今回は池大雅の作品だけでなく、旅のエピソードや年表などの資料も充実していて、キャプションにも描いた時の年齢や背景などがありますので、池大雅という人物に興味がわく展覧会でした。 鑑賞後には、休憩コーナーに復活した給茶機のお茶を飲みながら、皇居の緑とお堀を眺めて、池大雅の描いた高士のようにほっこりしましょう。
この展覧会で観られる国宝
十便十宜図[川端康成記念会]
田舎の別荘をディスられた中国清朝の文人「李漁」が、10の便利なこと(十便)と、12のよいこと(十二宜)を詠んだ詩を元に、鳴海宿の素封家が池大雅に十便図を、与謝蕪村に十宜図を依頼したという贅沢な合作です。 川端康成が、家を買うための費用でこの絵を購入したというのも有名なエピソードです。
通期で公開されますが、本やノートのようにページを開くタイプなので、3~5日ほどでページがめくられていきます。 公式サイトでは場面替えスケジュールが公開されていましたので、お目当てのある方はチェックした方がよさそうです。
楼閣山水図[東京国立博物館]
2/10~2/25だけ公開される東京国立博物館所蔵の六曲一双(6扇の屏風が2つ1組)屏風で、池大雅には珍しい金箔地に描かれています。 ほっこりした人物はいつもの池大雅らしいものですが、金箔の上に描かれるだけでちょっと立派な人物に見えてきます。
こちらは東京国立博物館で数年に1度は公開されるので、首都圏在住の方にはそこまでレアではないかもしれませんが、今回の展覧会では膝の高さ位の展示ケースで公開されていて、目線が屏風の前に正座したのと近いような気がします。 東博の国宝室よりも低く、東博の7室(屏風の部屋)よりも高く、個人的にはとても良い高さで鑑賞できました。
※写真は、過去に東京国立博物館で撮影したもので、今回は撮影不可です。
展覧会 概要
日程:2024/2/10~3/24
休館:月曜日(2/12は開館し、2/13が休館)
時間:10:00~17:00(入館は30分前まで)
料金:一般¥1,200、大高生¥800、中学生以下無料
出光美術館 公式サイト