刀剣博物館の訪問は2度目ですが、ぐるっとパスが割引ではなく入場可能なのはとてもありがたいです。 国技館や江戸東京博物館の北に日本庭園のきれいな「旧安田庭園」があるのですが、そこに隣接していてこの辺りだけで半日は遊べそうです。
こちらの博物館は、2ヶ月程度の企画展を年に5~6つ開催されます。 国宝の刀剣を3点お持ちですが、今回は所蔵品の出展はありませんでした。 少し前に所有者の小松さんが亡くなられてご遺族が「ふくやま美術館」に寄付されることになった小松コレクションから2点。 土浦市から1点の3点が今回の企画展で観られます。
今回のテーマは「筑前左文字の名刀」ということで、筑前(=現在の福岡)にいた「左」という銘(刀に彫る作者のサインのようなもの)を刻む刀工の作品を「筑前左文字」と呼んでいて、左文字を中心にその一族のルーツや弟子の作品などがテーマになっていました。 「左」と彫っていたのは「左衛門三郎」と伝わる刀工で、正宗に弟子入りし鎌倉時代末期から南北朝時代に活躍したそうです。
国宝の『江雪左文字』というのは太刀ですが、他に残っているのは短刀が多いようです。 この江雪左文字には立派な拵(刀の鞘や柄など)も一緒に展示してあり写真撮影可能だったのですが「SNS・ネットへのUPは禁止」という事で残念ながらお見せできません。 入ると正面に展示してありオォとなります。
1つ目のコーナーは「筑前鍛冶の先達」ということで、父実阿や西蓮の刀剣が並んでいます。 厳島神社や熱田神宮に奉納されたものもあります。
2つ目のコーナーが「左文字の名刀」という事で、銘の入れ方の差なども説明されています。 もう1点の国宝『太閤左文字』は短刀ですが、刀の鑑定や研磨を家業とする本阿弥家が作った豊臣秀吉の刀剣目録に「左文字」とあり、秀吉の所有が確認されています。 後に徳川家の所有になっていて、現在の拵えには葵が入っています。
3つ目は「左文字の門流」で、子供の安吉や弟子達の刀剣が並びます。 ここに出ている国宝は弟子の「行弘」作の『短刀 銘筑州住行弘 観応元年八月日』です。 土浦藩の土屋家に伝来し現在は土浦市の所有で、土浦市立博物館では定期的に公開されるようですが、都内で観られたのはありがたいです。
刀剣類はまだまだ「刃文が~」なんて感想が出るまでに至っていませんが、少しずつ勉強中です。 刀剣博物館の1Fにはすごくわかりやすい刀剣の解説コーナーがあり、実物も展示してあるので予習復習にはもってこいですよ。 こちらは写真撮影OK。