鑑賞ログ|顔真卿 王羲之を超えた名筆展@東京国立博物館

鑑賞ログ|顔真卿 王羲之を超えた名筆展@東京国立博物館

顔真卿 王羲之を超えた名筆展

「書」の展示と聞くと愛好家の方しかわからないのでは?と思いますが、さすがの東博さん、通から素人まで楽しめる展示になっています。 漢字の成り立ちや、時代や書家ごとの展示、日本への影響などテーマがあるので、入門編にもちょうどいい感じです(ずいぶん豪華な入門ですが)

顔真卿-王義之を超えた名筆-展 東京国立博物館

第一章「書体の変還」

まず第一章は「書体の変還」というテーマで、紀元前13世紀~隋(日本の飛鳥時代)までの文字の変化がテーマ。 古くは、亀甲や獣骨に刻まれた象形文字のようなものや青銅器に刻まれた文字、秦の始皇帝が漢字も統一した「小篆」という書体。 そこから早く書くために隷書や楷書に発展していったもの。 パネル展示もあってなるほど、な展示です。

このコーナーに国宝『説文木部残巻』が出ていますが、「説文」は西暦100年にできた漢字辞典で、「木」のつく漢字の部分が残ってるものです。 字ごとに解説が書かれていて、唐時代に写本されたものだということ。

第二章「唐時代 安氏の乱まで」

続く第二章は「唐時代 安氏の乱まで」で、唐の太宗皇帝時代の三大家である虞世南・欧陽詢・褚遂良を中心に、太宗皇帝が好んだ王羲之(太宗皇帝より300年ほど昔の人物)を真似た筆跡や拓本などの展示です。 太宗皇帝は王羲之の書のコレクターで副葬品として墓に納めさせたほどで、王羲之の真筆は残っていないようです。

今回「拓本」の展示が多く、名前の通り石碑などを「托」で写しとったものですが、オリジナルが現存しないものも多く古い時代のものは拓本でも貴重品です。 魚拓のように石碑に墨を塗って紙を貼り付けるのかと思ったら違うんですね(笑) 湿らせた紙を石碑に貼り、綿を布でくるんだ「タンポ」に墨をつけてポンポン叩いていくようです。 それでこんなにキレイに写されているんですね。

玄宗皇帝による「紀泰山銘」 高さ13mの石碑の拓本

SNSなどでも話題になっていた「紀泰山銘」は楊貴妃で有名な「玄宗皇帝」による書で、高さ13mの石碑を拓本にしたもの。 写真では分かりづらいですが、とにかく巨大で1文字が手のひらサイズくらいあるんです。 となりにタバコの箱でも並べたいくらい(笑)

玄宗皇帝による「紀泰山銘」の拓本で1文字が手のひらサイズの大きさ

このコーナーにはいくつか国宝が出展されていました。
世説新書巻第六残巻 ―規箴・捷悟―』『古文尚書巻第六』『王勃集巻第二十九・第三十』など。 いずれも唐時代に書写されたものです。 ここは期間によって展示替えがあるようなので、ご注意ください。

第三章「唐時代の書 顔真卿の活躍」祭姪文稿

第三章は「唐時代の書 顔真卿の活躍」ということで、あの有名な「祭姪文稿(さいてつぶんこう)」は第一会場のいちばん最後に展示してあります。 ここだけはほとんど全ての時間で行列の待ち時間が出来ているようです。 ただ、待っている間にこの書が書かれた背景や経緯、翻訳など展示してあるので、予習にちょうどよかったです。 背景を知らないとあのラフな書に人が魅せられるのが理解できないかもしれません。

第二会場も顔真卿が続きます。 それまでの端正な文字から、感情を込めた文字への移り変わりもみられます。 気になったのが僧の「懐素」で、大好きなお酒を飲むと大声でわめきながらそこら中に草書を書きまくったという方。 エピソードも書も気に入りました。

第四章「日本における唐時代の書の受容」

第四章は「日本における唐時代の書の受容」ということで、顔真卿など唐時代の書家を通して王羲之の影響を大きく受けた日本の三筆(空海・嵯峨天皇・橘逸勢)、その後に日本独自の発展をした三跡(小野道風・藤原佐理・藤原行成)が並びます。

ここは国宝の真筆だらけで『金剛場陀羅尼経巻第一』『紫紙金字金光明最勝王経巻第九』『久隔帖 最澄筆』『金剛般若経開題残巻 空海筆』『李嶠雑詠断簡 伝嵯峨天皇筆』『白氏詩巻 ―寛仁本― 藤原行成筆』など。 ここも展示替えが多くあるようです。

第五章、第六章

第五章は宋時代、第六章はそれ以降の元・明・清などへの評価や影響で、王羲之のかっちりした端正な書から、感情を込めた個性的な表現になっていく様子がわかります。 このあたりは、閉館間際のナナメ鑑賞で感想少なめ。

この展覧会のアドバイス

という訳で、書は素人の私が2時間弱で足りなかったので、説明をしっかり読みたい方は時間に余裕をみたほうが良いと思います。 それから、金・土の夜や平日の夕方に行く方は、第二会場→第一会場の順で回ると混雑緩和になりますよ。 ただ、展示のストーリーを無視することになるので、一度目の訪問は順を追った方がいいのかも。 観る前は1度でいいかと思っていましたが、後半にもう1度来たいなと思う充実の展示でした。

顔真卿 王羲之を超えた名筆展 の概要

後期の鑑賞ログ

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