埼玉(さきたま)古墳群のこと
埼玉(さいたま)県の由来にもなった、埼玉(さきたま)の地に、8基の前方後円墳と1基の大型円墳がある。 かつては、30基を超える小型の円墳もあったが、すでに半壊状態のものが多い。 エリア一帯は「さきたま古墳公園」として、博物館や現地の展示施設などが整備されている。
古墳は5世紀後半から6世紀頃までのもので、それまでこの土地になかった大型の前方後円墳が集中することや、出土品の剣に刻まれた刻印の内容から、ヤマト政権との強い関連が考えられる。
国宝『武蔵埼玉稲荷山古墳出土品』
埼玉古墳群の中でも2番目に大型の前方後円墳「稲荷山古墳」から、昭和43年(1968年)に出土した副葬品で、後円部の頂上から2基の埋葬後が発見された。 現在は古墳に登ることができ、副葬品が発掘された場所にはパネルで埋葬時の様子が再現されている。
出土品の中で代表的なものは「金錯銘鉄剣」で、鉄剣に金錯(金象嵌)で、剣の表裏あわせて115文字が刻まれている。 銘は「辛亥年七月」で始まり、これは471年という説が強い。 祖先の名が7名分記され、その後に「先祖代々杖刀人首」とあり、これは大王の親衛隊長を示す。 それに「獲加多支鹵大王」に仕えたとあり、これは「ワカタケル王」で雄略天皇に比定する説が強い。 この銘文は、日本最古の文章とされる。
国宝指定内容 一覧
金錯銘鉄剣(辛亥年七月在銘)1口
神獣鏡 1面
硬玉勾玉 1箇
銀環 2箇
金銅帯金具 1条分
刀剣類
刀身4口
剣身1口
矛身2口
鉄鏃(残欠共)261本
挂甲小札(残欠共)858枚
馬具類
鞍金具残欠1具分
壺鐙残欠1対分
轡1具
辻金具残欠58箇
鈴杏葉3箇
銅環鈴1箇
工具類
鉄斧2箇
鉄鉗2箇
鉄鑷子1本
鉄〓1本
刀子(残欠共)2口
砥石 1箇
刀剣類
刀身残欠2口
剣身残欠2口
鉄鏃(残欠共)一括
挂甲小札(残欠共)一括
馬具類残欠 一括
刀子残欠 1口
鉄鎌 1箇
この国宝を観るには
さきたま古墳公園内にある「埼玉県立さきたま史跡の博物館」で常設展示されている。 この公園内にはこの国宝が出土した稲荷山古墳もあり、発掘当時が再現パネル展示されている。
2023秋~2024年春の改修工事以降は、代表的な国宝「金錯銘鉄」が保護のために非公開となり、レプリカが展示される。
鉄道駅からはどの駅からも徒歩30分以上かかる。
JR吹上駅からは1時間に2~5本程度のバスがあり、バス停「産業道路」からは徒歩15分
JR行田駅からのコミュニティバスは1日に数本だが「埼玉古墳公園前」バス停は公園内で徒歩は少ない。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-872
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00036-00
【種別】考古資料
【指定名称】武蔵埼玉稲荷山古墳出土品
【ふりがな】むさしさきたまいなりやまこふんしゅつどひん
【員数】一括
【所在地】埼玉県立さきたま史跡の博物館
【国宝指定日】1983.06.06
【説明】出土品のうち、金錯銘鉄剣【きんさくめいてつけん】は、わが国古墳出土品中の白眉である。百十五字からなる銘文は、五世紀のわが国の古代社会が大きく変容をとげている時期のきわめて数少ない同時代史料で、現存最古の日本の文章といえる。その内容は、古代氏族の在り方を伝え、『古事記』、『日本書紀』に伝えられた日本古代国家の歴史を一層明らかにするもので、古代史研究上特に価値が高い。同時に伴出品も鉄剣銘との関連において、古墳時代遺物の編年研究上貴重な資料であり、その学術的価値はきわめて高いものがある。