大徳寺龍光院 国宝 曜変天目と破草鞋 展
「龍光院(りょうこういん)」は、京都市北部にある「大徳寺」の塔頭の1つで、多くの国宝や重要文化財を持ちながら通常は全く公開されていない寺院です。 所蔵する文化財の公開も少ないので、このようにまとめて観られるのはとても貴重な機会です。
この企画展のタイトルにもある「曜変天目」は、世界に3点しかない貴重な焼き物で、その全てが日本にあり3点とも国宝に指定されています。 この春は3点が同時に公開されるということも話題になっています。
今回の企画展のパンフレットに、龍光院「小堀月浦」住職の談として以下のようにありました。 心ある人になれるように精進しますので、いつか龍光院の「密庵席」が観られますように。
私が小僧の頃、虫干しの手伝いは秋の恒例であった。
和尚が朝からせっせと鴨居に掛けた軸物を、
長棹で下ろし、教えられた通りに箱にしまう。
学校から帰ってくると、和尚と二人、日が暮れるまでこれにかかった。
お寺がどうして美術館のように多くの作品群を収蔵しているのか、
不思議に思えてならなかった。恥ずかしながら、その理由が
ボンヤリわかりはじめたのは、つい最近のことである。
「そうか、心ある人に見てもらうためにお寺に在るんだ」と。
大徳寺塔頭「龍光院」のこと
大徳寺は禅宗の一派「臨済宗」の寺院で、アニメでも有名な一休さんを始め、多数の名僧を輩出している。 室町~安土桃山時代には、茶の湯を始めとした当時の最先端文化の中心地でした。
龍光院は、黒田長政が父の黒田官兵衛の菩提を弔うために建立し、堺の豪商で茶人だった津田宗及の子である「江月宗玩(こうげつそうがん)」が住職を務め、所縁の茶道具や書などが多数残されています。
この展覧会で観られる国宝
曜変天目茶碗
南宋時代の中国で短期間だけ作られたと考えられ、現存しているのは日本にある3点(もう1点は意見が分かれる)のみという貴重な品。 黒い小ぶりな抹茶椀で、玉虫色に光る斑点が多数あり、角度によって様々な表情を見せます。 龍光院所蔵の本品は門外不出といわれており、過去にも数度しか公開されていません。
金剛般若経 蘭渓道隆筆(前後で場面替)
今回は『金剛般若経 』として出展されていますが、国宝の指定は『大覚禅師筆金剛経』になっています。 大覚禅師=蘭渓道隆で、中国・南宋から鎌倉時代の日本に来ています。 書をよくした人物で、中国の名書家「張即之」の書風を日本に伝えました。 この金剛経と鎌倉建長寺に伝わる墨蹟の2点が国宝に指定されています。
密庵咸傑墨蹟(3/21~4/7)
「密庵咸傑(みったんかんけつ)」という南宋時代の中国の高僧のによる「墨蹟」(=日本では禅僧が書いた書をいう)で、中国にも真筆は残っておらず本品が世界で唯一点だと言われています。 行書で書かれた27行が掛け軸になっており、龍光院には国宝の『書院』の中に、この軸しか飾らない専用の茶席「密庵席」があります。 龍光院は過去に一度も一般公開されたことがなく、この墨蹟の公開もとても貴重です。
竺仙梵僊墨蹟 諸山疏(5/8~5/19)
竺仙梵僊(じくせん ぼんせん)は、鎌倉時代末期に中国・元から招かれて来日した僧で、鎌倉の建長寺や京都の南禅寺の住持も務めます。 多くの有力者から帰依を受け、五山文学の礎を築きました。 「疏」は禅の文書の一種で、「諸山疏」は新しい住持を迎える時に周辺の寺院が書くものだそうです。 これも公開が10年単位で珍しいものです。
出展される重要文化財
通期展示
「十六羅漢図」伝顔輝筆(前後で入替)
「大川普済語録」(前後で場面替)
前期
「後西天皇宸翰消息 緋宮宛」(3/21~4/21)
「佐久間将監像」狩野探幽筆(3/21~4/21)
「琴棋図屏風」伝明兆筆(3/21~4/21)
「南浦紹明墨蹟」(3/21~4/21)
Ⅱ期(前後期にかかっています)
「柿・栗図」伝牧谿筆(4/9~5/6)
後期
「山水図」伝馬遠筆(4/23~5/19)
「宗峰妙超墨蹟」(4/23~5/19)
その他の出展品
「江月宗玩頂相 衆徒請」狩野探幽筆(3/21~4/21)
「唐物丸壺茶入(宗及丸壺)附 菱形内黒外屈輪文盆」
「油滴天目 附 螺鈿唐草文天目台 天字印・分銅形印」
「津田宗及 竹茶杓」
「蒙流九条袈裟」(3/21~4/21)
期間別の出展数
通期:63点
前期:42点(3/21~4/21)
後期:45点(4/23~5/19)
Ⅰ期:13点(3/21~4/7)
Ⅱ期:7点(4/9~5/6)
Ⅲ期:11点(5/8~5/19)
鑑賞ログ
イベント・プログラム
この企画展では、美術館主催の講演会以外にも、いつもは龍光院で開催されている会を特別にこの会場で開催するそうです。 定員100名ですが、ぜひとも参加してみたいです。
看松会(かんしょうかい)※龍光院三会
茶書講義の会。龍光院の先師、南嶺和尚の仰る「趣味や社交の茶ではなく、利休本来の禅の生活化としての茶の湯」を実践修行する場としていきたいとの和尚様の思いから開かれています。
3/23(土)14:00~15:30
特別講演「龍光院の茶の湯」
講師:熊倉功夫(MIHO MUSEUM 館長)
寸松塾(すんしょうじゅく)※龍光院三会
論語の勉強会。通常は龍光院にて親子で作務(お掃除や畑仕事など)、坐禅ののち、論語の勉強をします。今は一寸の松のように小さなこどもたちが、心豊かにたくましく育って大樹となり、世のため人のためになってほしいとの和尚様の願いが込められています。
3/24(日)13:00~14:00
こどもと大人のための論語塾
講師:安岡定子(論語塾講師)
※主に親子対象(小学生以上)
欠伸会(かんしんかい)※龍光院三会
開祖江月宗玩和尚語録の勉強会。芳澤先生の厳しくも温かいご指導のもと、禅の教えに共鳴する老若男女が集い学んでいます。
4/7(日)14:00~15:30
特別講演「江月和尚と欠伸稿(かんしんこう)」
講師:芳澤勝弘(禅学・禅宗史研究家、花園大学国際禅学研究所顧問)
講演会
3/31(日)14:00~15:30
「江月宗玩と龍光院の宝物」門脇むつみ(美術史家)
4/14(日)14:00~15:30
「染織品に見る大航海時代─龍光院所蔵品から─」山川暁(京都国立博物館)
4/21(日)14:00~15:30
「曜変天目の魅力と謎に迫る」小林仁(大阪市立東洋陶磁美術館)
4/29(月)14:00~15:30
「龍光院宝物の魅力」朝賀浩(京都国立博物館)
5/12(日)14:00~15:30
「密庵席─ 龍光院の建築」池田俊彦(建築史家)
座禅の会(龍光院 小堀月浦和尚による)
1回50名 14:00~15:30(入替で2回実施)
3/28(木)☆、30(土)
4/4(木)6(土)★、11(木)、13(土)、18(木)、20(土)、25(木)、27(土)
5/9(木)、11(土)、16(木)、18(土)
☆3/28(木)14:45~1回のみ
★4/6(土)紙芝居「大燈国師物語」があり座禅は1回のみ
通常展で4つ目の「曜変天目」公開
MIHO MUSEUMの南館では「永遠の至福を求めて」と「MIHO MUSEUM世界の古代美術」という展示が同時開催されています。 なんとこちらで旧前田家所蔵の重要文化財「曜変天目」が公開されます。 この茶碗を“曜変”と呼ぶことには様々な意見や見解がありますが、「曜変天目」として重要文化財に指定されています。
展覧会 概要
期間:2019/3/21~5/19
時間:10:00~17:00(入館は1時間前まで)
休日:毎月曜 ※4/29・5/6は開館、4/30・5/7は休館
料金:大人¥1,100、高大生¥800、小中生¥300
MIHO MUSEUM 公式サイト
アクセス(バス)
JR「石山駅」→「MIHO MUSEUM」行き
約50分 ¥820
平日 9:10、10:10、11:10、12:10、13:10
土日祝は、9:50、14:10が増便される
「MIHO MUSEUM」→JR「石山駅」行き
約50分 ¥820
11:00、12:00、13:00、14:00、15:00、16:07、17:14
信楽高速鉄道「信楽駅」→田代・畑・陶芸の森ルート
「MIHO MUSEUM」下車 約20分 ¥250
10:50、14:50
「MIHO MUSEUM」→信楽高速鉄道「信楽駅」
約20分 ¥250(※印は¥260)
11:00、12:20※、13:30※、15:10