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情報|松濤美術館「SHIBUYAで仏教美術」2022/4/9~5/29[東京]

情報-博物館・美術館

SHIBUYAで仏教美術-奈良国立博物館コレクションより

渋谷区立の美術館で、都内でも屈指の高級住宅地「松濤」にある松濤美術館は、建築家の白井晟一氏の設計で昭和56年(1981年)に開館しています。 渋谷駅からだとちょっと距離がありますが、金曜は20時までの夜間開館があり、平日も18時まで開館しているので、勤め人にはありがたい美術館です。 常設展はなく、年に4回の企画展と所蔵品&公募展が開催されていて、日本の古美術、現代アート、ファッションとジャンルは様々ですが、なかなか攻めたテーマの展覧会が楽しい美術館です。

2022年度は「SHIBUYAで仏教美術」というタイトルで、奈良国立博物館の仏教美術コレクション83件を紹介する展覧会でスタートします。 奈良国立博物館は、東大寺や春日大社のある広大な奈良公園にあって、特に仏像や仏画、古写経などの仏教美術を得意としていて、関西の寺社からの寄託品も多くあり、所蔵する文化財も多くて国宝は13件もあります。 今回は仏教美術に絞って、第1部は日本の仏教美術の流れ、第2部は珠玉の名品たちーまほろばの国から-というテーマで、2件7点の国宝ほか貴重な文化財がたくさん出展されます。 前後期での展示替えや巻替えが多いのと、ぐるっとパスが使えたり「リピ割」もあるようなので、ぜひ前後期両方行きたいものです。

松濤美術館「SHIBUYAで仏教美術」チラシから

この展覧会で観られる国宝

牛皮華鬘[奈良国立博物館]

前期(4/9~5/8)のみ

華鬘(けまん)というのは寺院を装飾する絵板で、元はインドで寺院内に花を飾ったことのようです。 仏堂に入って壁や柱を見上げるとぶら下げられていて、金属製や木製が多いのですが、この国宝は名前の通り牛皮を加工した上に彩色を施しています。 13枚が国宝に指定されていて、今回はその内の2枚が後期のみ公開されるようです。

国宝『牛皮華鬘』奈良国立博物館

辟邪絵[奈良国立博物館]

大河ドラマでも存在感抜群の後白河法皇が所蔵していたといわれる絵巻物で、凄惨な地獄絵のように見えますが、全て悪鬼をこらしめる善神なのだそうです。 現在は5幅の掛軸になっていて、前期に3幅、後期に2幅が公開されます。

前期(4/9~5/8)

天刑星:星を司る道教の神で日本では陰陽道や密教に取り入れられる。疫鬼をつかんで酢につけて食べる。

国宝『辟邪絵』から「天刑星」奈良国立博物館

栴檀乾闥婆:妊婦に危害を与える15の鬼を退治するとされ、八部衆にも数えられる。

国宝『辟邪絵』から「栴檀乾闥婆」奈良国立博物館

毘沙門天:四天王の北方守護「多聞天」の別名だが、ここでは左下に描かれた法華経を学ぶ僧を守護している。

国宝『辟邪絵』から「毘沙門天」奈良国立博物館

後期(5/10~5/29)

鍾馗:玄宗皇帝の守護神で、魔除けや疱瘡除けとして日本でも馴染み深い。 疫鬼をとらえて目をえぐり、体を破り捨てる。

国宝『辟邪絵』から「鍾馗」奈良国立博物館

神虫:瞻部州南方の山の中に住んで、朝に3千、夕に3百の虎鬼を食べるとされる。

国宝『辟邪絵』から「神虫」奈良国立博物館

その他の(個人的)おすすめ

仏教美術は同じ名前の作品が多数あるので、リストだけでは特定が難しいものが多いですが、カメラロールに写真があった中から、今回出展されるオススメを何点かご紹介します。 これは完全に中の人の趣味で、文化財的な価値観とは一致しませんし、かなり偏っておりますのでご注意ください。

沙門地獄草紙(沸屎地獄)[重要文化財]

沙門(しゃもん)というのは僧侶のことで、悪い事や決まりを破ったお坊さんが落ちる地獄を描いたものです。 こちらは国宝『辟邪絵』と一連の地獄草紙として伝わったのだそうで、辟邪絵の数が1枚少なくなる後期に展示されます。

泣不動縁起

有名な絵巻物なので、京都の清浄華院が所蔵する重要文化財をはじめ、東京国立博物館などでも観ることができますが、前半の安倍晴明の祈祷の場面に居並ぶ付喪神?がかわいいのです。 そして後半は、病気の僧に替わって地獄に連れてこられた不動明王の困った顔と、不動明王に驚いて平身低頭する閻魔大王がかわいいので、これも前後期ともご覧いただきたいです。

明恵上人夢記(四月二十二日)

書や古写経は素通りされがちですが、こちらはどうぞお見逃しなく。 この「明恵上人夢記」は、鳥獣戯画で有名な高山寺を再興した明恵上人が、自分の見た夢を生涯書き綴っていたものの一部です。 西に向かって阿弥陀如来を念じると光明が差したという、4/20の日記です。

俱利迦羅龍剣二童子像[重要文化財]

不動明王とお供の矜羯羅童子・制咤迦童子の「不動三尊」は、仏像でも仏画でも数多くありますが、これは中央に「俱利迦羅龍剣」という、龍の巻き付いた不動明王の持つ剣を描いて、不動明王を表しています。 矜羯羅童子(こんがらどうじ)は優しくて、制咤迦童子(せいたかどうじ)はやんちゃに描かれますが、この絵ではちょっとアンニュイな表情の矜羯羅ちゃんがたまりません。 前期のみの公開です。

鳳凰文戧金経箱[重要文化財]

中国・元時代(日本の鎌倉時代頃)の木製漆塗りの経箱で、線を彫ってそこに金を埋め込む「戧金」という技法を使っています。 この時代は日本でも漆の経箱や手箱がたくさん作られていますが、かなり趣の異なるエキゾチックな雰囲気です。 国宝『牛皮華鬘』と交代で、前期に登場します。

展覧会 概要

日程:2022/4/9~5/29
休館:月曜日、5/6(金)
時間:10:00~18:00(入館は30分前まで)
料金:一般¥1,000、大学生¥800、高校生・60歳以上¥500、小中生¥100

松濤美術館 公式サイト

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