鑑賞ログ|白鶴美術館「文字を語る」

鑑賞ログ|白鶴美術館「文字を語る」

白鶴美術館

白鶴美術館

白鶴美術館は初めての訪問です。 日本酒「白鶴」の創業家の施設美術館として開業し、戦前の建物のままなのが一番の魅力です。 手前に玄関棟、奥に展示棟が建ち、それを渡り廊下がつなぐコの字型になっています。 印象的には富士屋ホテルや東京国立博物館本館のような印象の建物で、それよりも洋の要素が少なく、かわりに中華のモチーフが取り入れられています。

白鶴美術館

玄関棟と展示棟の間には中庭があり、この日は雨あがりで出られませんでしたが、東大寺大仏殿の前にある国宝『八角燈籠』の模作が据えられています。 長い渡廊下を渡って展示棟に向かいますが、伝統には鶴モチーフがあったり、見どころはたくさんあります。

白鶴美術館

展示棟の本館は、高い折上格天井の広いホールで、奈良ホテルや富士屋ホテルなどクラシックホテルの食堂のような空間です。 壁沿いにも展示ケースはありますが、中央にも並べられているので、ぐるっと角度を変えて観られるのはうれしいです。 本館には2階もあり、厚い絨毯敷きの階段を上がるのですが、ここは黄檗宗の寺院のようなモチーフが使われ、モダンシノワな雰囲気です。

白鶴美術館

文字を語る 展

「文字を語る」と題して、古代中国の青銅器に刻まれた初期の漢字から、日本に渡ってからの古写経、仮名文字が成立してからの古筆など、漢字の移り変わりを美術品でみせて頂けます。 中国では吉祥の漢字を模様に取り込むことも多いので、陶器なども出ています。

今回の展覧会では、白鶴美術館所蔵の2点の国宝が出展されます。 1点は『賢愚経残巻(大聖武)』で、聖武天皇が書写したという伝説がある大きな文字の写経で「大聖武」の通称で有名な名品です。 手鑑(古筆を少しずつ貼り混ぜた手本帳)の先頭には大聖武を貼るのがステイタスとなり、残っているものは数行に断簡されたものが多いのです。 白鶴美術館には巻本が残っており、とても貴重なものです。 荼毘紙という白い紙を使っていて、同じ時代の黄麻紙と比べると上品な感じがします。

国宝『大聖武』白鶴美術館

もう一点の国宝『大般涅槃経集解』も古写経ですが、大きい文字の写経部分と小さい文字の開設が交互に配置されています。 今回出展されている古写経で特に印象に残ったのは、10/20まで展示される「古経貼交屏風」です。 6曲の屏風に無数の古写経が、色紙屏風のように貼り交ぜられています。 中には焼経のような有名なものもあり、面白く観せて頂きました。

仮名文字の作品も、俊成の古筆をはじめ能書家のものが多く出ています。 この頃は、仮名文字を読む練習をしているので、展示品の横に現代のひらがなフォントで何が書いてあるか並列されているのは、とてもうれしかったです。 ちょっとずつですが、読めるようになってきた?かな???

2階は中国の焼物なども多く、天目茶碗の見込み(内側部分)に文字が書かれた「文字天目」が観られます。 今年は春からたくさんの天目茶碗を観てきたんですが、このタイプは初めてです。 他に、青磁の花入や、表面に詩文が書かれた三彩の枕など、珍しい陶磁器が並んでいました。

新館「絨毯-描かれた図形と文字-」

本館の正面、駅から向かうと手前側には、コンクリート打ちっぱなしがモダンな新館があります。 2010年に亡くなられた白鶴の10代目で、中東や北アフリカの絨毯をコレクションして、現地の写真集なども出されています。

白鶴美術館 新館

本館のテーマに合わせて、文字や意味のあるモチーフを織り込んだ絨毯が展示されています。 絨毯や中東文化はあまり詳しくないですが、キャプションやパネル展示が多くて、初心者でもわかりやすい展示になっていました。

展覧会 概要

期間:2019/9/25~12/8
休日:毎月曜日(祝日は開館し、翌火曜が休館)
時間:10:00~16:30(入館は30分前まで)
料金:大人¥800、シニア・大高生¥500、小中生¥250
公式サイト:http://www.hakutsuru-museum.org/

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