鑑賞ログ|両陛下と文化交流展(前期)@東京国立博物館 2019年3月

鑑賞ログ|両陛下と文化交流展(前期)@東京国立博物館 2019年3月

両陛下と文化交流展

今年は御代替わりがあるので、いろんなところで関連企画展が開催されます。 東京国立博物館では20社近くの民間企業が協賛する「紡ぐプロジェクト」の第一段として、御即位30年記念「両陛下と文化交流―日本美を伝える―」が開催されています。 会場は平成館ではなく、本館の大階段の奥にある「特5室」と売店の内側にある「特4室」なので、比較的こじんまりとした展示です。

「両陛下と文化交流―日本美を伝える―」 展 東京国立博物館 本館にて

御即位

悠紀地方風俗歌屛風 東山魁夷筆(前期)

毎年秋に、天皇陛下が五穀豊穣を祝って「新嘗祭(にいなめさい)」をされますが、即位後初めての時のみ「大嘗祭(だいじょうさい)」となり、新嘗祭より大規模になります。 その大嘗祭で供える稲を出す地方を「悠紀(ゆき)」「主基(すき)」といい、悠紀国は東日本から、主基国は西日本から、亀の甲羅を焼く占いで選びます。

この屏風は大嘗祭のために作られたもので、悠紀の秋田県の景色を東山魁夷が描いたものです。 非常に大型の屏風で、左隻は紅葉の山々が、右隻は満開の桜が描かれ、両隻とも奥には青い海が見えます。 やまと絵風の「すやり霞(すやりがすみ)」が群青でたなびく現代的ながら日本らしい屏風です。

先月の即位30年宮中茶会でも、皇族方の後ろにこの屏風が置かれていたようです。 後期には、高山辰雄が描いた主基地方(大分県)の屏風に替わりますが、高山辰雄は大分県の出身だそうで、このようなかたちで故郷の風景を描くなんて感慨深かったでしょうね。

ご誕生

霊峰飛鶴(前期)

今上天皇のご誕生を祝って堂本印象が描いた6曲1双屏風で、右隻には2羽の鶴が飛び立つところを、左隻には中央に青々とした山を描き、その奥に富士山が輪郭が重なるように描かれています。 縁起のいい立派な屏風です。

外国ご訪問と文化交流

このあたりから、写真パネルの展示も多くなってきます。 外国訪問の時には日本の美術品をご紹介されることもあるようで、その中から何点かを展示してありました。 その美術品を外国の方と一緒に眺められる様子も写真パネルで展示されています。

小栗判官絵巻(巻替えあり)

途中で巻替えがあるようですが、前期で展示されていたのは小栗判官亡き後に照手姫が人買いに売られ、大勢の遊女の世話をしているところ。 遊女たちは平安~鎌倉期の風俗で描かれとても華やか。

もう1巻は、照手姫が千手観音の守護で他人の16人分も働けたという場面。 このシーンでやっと前の巻のそれが照手姫か確定しました(笑) 

源氏物語図画帖(展示替えあり)

源氏物語絵なのですが、画と詞書がそれぞれ別の色紙に書かれ、それが上下に貼られています。 台紙は金箔でジャバラになっていて、画・詞の色紙も金箔が多く使われ、品のいいやまと絵が描かれています。 これは土佐光則によるものだと伝わっています。

松竹薔薇蒔絵十種香道具(前期)

松竹“梅”ではなく松竹“薔薇”、ひらがなだとたった1文字違いです。 「十種香」は、有名な10種類の香を組み合わせて当てるなど上流階級の遊びで、十種香道具は嫁入り道具にも入っていたようです。 梨地に上品で細かい花模様が蒔絵で描きだされています。 武家の蒔絵道具とは趣が違うので、じっくりと観ておきたい一品です。 後期は別の十種香道具に替わるようです。

丹鳳朝陽図花瓶

鳳凰を彫りだしたものと、朝日に植物を彫りだしたもので、対になった銀製の大型花瓶です。 明治の超絶技巧の一品ですね。

皇后陛下とご養蚕

明治時代の日本の近代化には絹産業が重要な位置を担いましたが、昭憲皇太后が宮中での養蚕を復活させ、その後も貞明皇后から香淳皇后、現在の皇后さまへと引き継がれ、日本古来種を育てられたり文化財の修復に使われるなどしているようです。

養蚕天女(前期)

高村光雲作の養蚕天女は、大正13年のものと昭和3年のものがあるようで、前期は大正13年のものが出展されていました。 当時皇太子だった昭和天皇のご成婚祝いに香淳皇后に贈られたそうで、養蚕の守護神として宝冠には蛾が、手には繭を持ち、足元には桑の葉があります。 養蚕の守護神というだけあって着衣は正絹だと思われ、衣や腰紐がゆったりと流れる様子がとても優雅に表されています。

赤縮緬地吉祥文様刺繍振袖(前期)

今上天皇の2歳のお祝いに昭和天皇から拝領されたもので、赤い縮緬地に鶴と亀(亀甲模様)や菊竹などが全て刺繍で表現されています。 これを着られた今上天皇の写真も一緒に展示してあります。

黒紅綸子地落瀧津文様振袖(前期)

皇室ではお祝い事で着物を贈ることが多かったようで、これは今上天皇の袴着の式で着られたもので、肩や背中には松などの植物が、そこから瀧が幾重にも重なり、裾の方には波が刺繍で描きだされています。 袴着の儀式の前後だと思われる、この着物だけの写真と袴を着けた写真の両方が展示されています。

イヴニングドレス・コート(前期)

佐賀錦のドレス・コートのアンサンブルで、ネパール国王の戴冠式で着られたものだそうです。 ややデザイン化された菊花が刺繍されていて、こういったものは近くで観ると品質の良さがよくわかります。 

伏籠と香炉、藤花文様お和服、菊花文様お和服

源氏物語などに出てくる「香をたきしめる」がこれですね。 木の棒を紐で束ねてあり、広げた中央に銀の大きな香炉が置いてあります。 20cm角ほどの小型の座布団のようなものが付いていて、これは生地を傷めないように木枠の角に置き、その上から着物を重ねたそうです。 皇后さまが若い時にお召しになった着物2枚も添えられてあり、こちらも刺繍の細かさに感服しました。

第二会場 写真展

一度ロビーに出てすぐ第二会場ですが、再度チケットを提示します。 こちらは美術品の展示はありませんが、写真展になっています。 少し前のものから懐かしい写真まで紹介されていて、過ぎゆく平成を振り返る時間になりました。

点数は少ないのですが、ほぼ全てが前後で入れ替わるか巻替えなどされるので、後期も行かないとですかね。 まだ空いていて1点1点じっくり観られますので、早いうちに一度ご訪問ください。

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