鑑賞ログ|華ひらく皇室文化 ―明治宮廷を彩る技と美―展@泉屋博古館分館/東京

鑑賞ログ|華ひらく皇室文化 ―明治宮廷を彩る技と美―展@泉屋博古館分館/東京

明治150年記念 華ひらく皇室文化 ―明治宮廷を彩る技と美―

2019年春は御代替わりがあるので、皇室や即位に関する展示があちこちで企画されています。 「華ひらく皇室文化」展は、2018年の「明治150年記念」として昨年から全国を巡回していた展覧会なので、徳川美術館や京都文化博物館なんかでご覧になった方も多いでしょうか。 明治宮廷での文化や美術と、美術工芸品の奨励のために創設された「帝室技芸員」の作品が展示されています。

華ひらく皇室文化 ―明治宮廷を彩る技と美―展@泉屋博古館分館

鹿鳴館の時代と明治宮殿

幕末~明治時代に開国した日本が不平等条約の改正を目指し、欧米と同等の文化水準だと示すために、皇室が先頭に立って西欧化を推進しました。 有名な「鹿鳴館」や、鹿鳴館ができるまで迎賓館の役割をした浜離宮の「延遼館」で使われた食器類や招待状などが並びます。 

食器類はどれも、パッと見はヨーロッパのヴィンテージ食器のようですが、よく見ると絵柄が和風だったり菊の紋章が入っていたりします。 東洋の白磁にあこがれたヨーロッパが、マイセン窯をはじめとする各地で生産するようになり、更に独自の発展をさせたものを、また明治の日本が取り入れるという逆輸入状態なんですね。 日本ならではの繊細な絵付けはさすがです。

招待状や献立の展示もありますが、英語と日本語が併記されているメニューなど、日本語だけではメニューが想像できず英語で分かるものも多く、当時の日本人が苦労しながら西洋料理に日本名を付けていったんだろうと想像出来ます。

明治天皇と昭憲皇太后の肖像画や、明治天皇の第七皇女で北白川宮妃房子のドレスは実物が展示してあります。 細かいビーズやスパンコール刺繍が素晴らしく、同じ生地が昭憲皇太后が肖像画で着ているドレスのスカートにも使われているそうです。

明治宮廷を彩る技と美(第一会場)

明治時代の皇居だった明治宮殿を彩った調度や絵画などが出展されています。 川島織物が製作したつづれ織りのタぺスリーは、隣にその下絵が展示してあり、その精巧さがよくわかります。 ここは部分的に前後期での展示替えがあるようです。

明治宮廷を彩る技と美(ホール)

ホールの正面奥側の棚のようなスペースに、彫刻や花瓶などが並んで置かれています。 ここは泉屋博古館所蔵の品物のようです。

明治宮廷を彩る技と美(第二会場)

入口から見て右側の展示室で「帝室技芸員」による様々なジャンルの作品が並びます。 帝室技芸員は明治23年に最初の任命があり、昭和19年の任命を最後に昭和22年には廃止されてしまいます。 創設当初は「工芸品」としてのとらえ方が強いようですが、後期は著名な「美術家」が任命されているようです。

各ジャンルの代表的な名品が展示されていて、パリ万博に出されたものなど明治の「超絶技巧」の逸品が並びます。 明治時代のものは派手さが控えめで繊細な美しさがありますよね。

今回一番のお気に入りは、石川光明作「狗児置物」です。 応挙や芦雪の絵から抜け出てきたようなムクムクの子犬が2匹じゃれあっています。 まぁ何とかわいらしいこと! 犬の彫刻は高山寺の狗児像が1番だと思っていましたが、これもなかなか。 個人蔵で次はいつ観られるかわかりませんので、少しでも気になる方はどうぞご覧ください。 前後期通して展示されるようです。

犬の話ばかりで恐縮ですが、二代目の川島甚兵衛が帝室技芸員だった川島織物がパリ万博に出展するために作った「群犬図」は、下絵や試織などが何点か展示されています。 何頭かの猟犬が勢いよく走る姿を織ったもので、パリ万博では「最高栄誉賞」を受賞したそうです。 日本のものづくりはこうして世界に認められていったんですね。 こちらは前期だけの出展です。

その他、硯箱など書道具や印籠などの漆器類、絵のようにしか見えない七宝など、東京国立博物館の1階18室のような雰囲気です。 この部屋の展示は個人蔵のものが多いので、なかなか観られる機会は少ないかもしれません。

ボンボニエール(第一会場)

これは明治宮廷のコーナーにあるのですが、皇室でお祝い事などの時に配られる「ボンボニエール」が展示されています。 ボンボニエール=ボンボン入れ、といっても小さな金平糖がほんのわずか入れられるだけのサイズで、その分細かいところにも意匠が凝らされています。

古いものだと明治天皇の銀婚式で配られた鶴亀のもの、新しいものは今年の即位30年茶会で配られたものまで。 その方のお印や家紋が入っていたり、学業修了の記念は本だったり、昭和天皇の即位時のは儀式で使う楽器型だったりと、その意匠を読み取って行くのがとても楽しいのです。 こちらは学習院大学が所蔵するものと個人蔵のものが半々くらい。 前後期の入れ替えはないようです。

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