国宝『如庵』
織田信長の弟で、本能寺の変後は豊臣、関が原では徳川についた織田長益、出家後は有楽斎(うらくさい)が、京都建仁寺の塔頭「正伝院」に作った茶室。 明治時代の末に三井家の所有になり、東京の本邸や大磯の別邸に移築された。 昭和40年(1965年)に名古屋鉄道に売却され、現在は旧名鉄犬山ホテル庭園の「有楽苑」にあり、隣には隠居後の有楽斎が居室とした正伝院の旧書院が移築されている。
京都山崎にある妙喜庵の「待庵」、京都大徳寺の塔頭龍光院の「密庵」と「如庵」で三名席と呼ばれており、3つとも国宝に指定されている。 名前の「如庵(じょあん)」は、有楽斎の洗礼名であった「Johan」または「Joan」から付けられたともいわれる。
利休の好んだ鄙びた「草庵茶室」とは異なり、武家らしい品格のある瀟洒な茶室と評価される。 茶室は、二畳半に「台目畳」と呼ばれる3/4ほどの大きさの畳を組み合わせた「二畳半台目(にじょうはんだいめ)」で、奥には3畳の水屋がある。 篠竹(細い品種)を隙間なく並べた「有楽窓」や、壁の腰から下に暦を張りつめた「暦張り」など、独特の意匠が多くみられる。
この国宝を観るには
2019年3月から保存修理工事に入っていたが、2022年3月1日より公開を再開し、外観は開苑時間内なら見学可能。
この国宝でのイベント
月に一度「内部特別見学会」があり、事前申し込みにより、国宝茶室「如庵」の説明と内部(入室)見学が受けられる。 参加費¥3,500で、茶室「弘庵」又は「旧正伝院書院」での抹茶の接待と入苑料が含まれる。 年に数回だが如庵の見学と「旧正伝院書院」の長谷川等伯や狩野山雪等の襖絵見学がセットになったコース¥5,500もある。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】102-1240
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00003
【種別】近世以前/住宅
【指定名称】如庵
【ふりがな】じょあん
【員数】1棟
【時代・年】元和4年頃(1618年頃)
【構造・形式】茶室二畳半台目、水屋の間三畳、廊下の間より成る、一重、入母屋造、こけら葺
【所在地】愛知県犬山市「名鉄犬山ホテル」
【国宝指定日】1951.06.09
【説明】織田信長の実弟、有楽の作。大坂夏の陣の後に隠居所とした京都建仁寺内に建てられ、近代に入って二度の移築を経て現在地に移築された。二畳半台目と呼ばれる平面を持ち、にじり口脇の意匠なども斬新な趣向を凝らしている。