梵天・帝釈天のこと
梵天と帝釈天は、古代インドの神が仏教にとりいれられた守護神で、一対で脇侍や仏像群の守護として配置された。 帝釈天は、映画「男はつらいよ」で有名な「柴又帝釈天」のように、単尊でまつられる場合もある。 梵天が単尊で信仰される例は日本に限らず少ない。
日本では、密教が入る前は中国の文官風の服装をした作例が多い。(東大寺法華堂や唐招提寺金堂など) 密教形式の場合はインド色が強く、梵天は多面多臂でガチョウに乗り、帝釈天は象に乗ったり武器を持つ姿で表されることが多い。(東寺講堂など)
国宝『梵天・帝釈天 立像』
東大寺法華堂(三月堂)で、本尊「不空羂索観音」の左右に脇侍のように安置される。 法華堂には、現在は東大寺ミュージアムに収蔵されている国宝『日光・月光像』(制作当時の尊名は不明)が、脇侍として安置されていた。
梵天・帝釈天は、脱活乾漆造で作られた高さ4mを超える大型の像で、彩色が衣や顔に残っている。 穏やかな表情で動きは少なく、中国の貴人風の風俗をしている。 一般的に、帝釈天は武門の神とされ甲冑姿で造像されるが、この像では梵天の方が衣の下に甲冑をまとっている。 これについては、入れ替わったとする説もあるが、諸説あり解決をみていない。
この国宝を観るには
東大寺の国宝『法華堂(三月堂)』に安置されており、拝観時間内ならいつでも観ることができる。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-191
出典:国指定文化財等データベース一部抜
【指定番号】00030-00
【種別】彫刻
【指定名称】乾漆〈梵天/帝釈天〉立像(法華堂安置)
【ふりがな】かんしつぼんてんたいしゃくてんりゅうぞう
【員数】2躯
【時代・年】奈良時代
【所有者】東大寺
【国宝指定日】1952.03.28