国宝『金剛力士立像』
金剛力士は、仏教の守護神として寺院の門などに安置されることが多いが、法華堂では本尊の前に左右に分かれて脇侍のように安置される。 一般的に金剛力士は、上半身は裸で筋骨隆々、金剛杵を手にしたり手指を広げた躍動感のあるポーズが多いが、この像は四天王のような甲冑姿に髷を結い、動きや表情も比較的穏やかに表されている。
現存する金剛力士で最も古いのは、長谷寺の国宝『銅板法華説相図(千佛多寶佛塔)』に彫られた像で、法隆寺中門安置の像と共に最古級だが、法隆寺のものは補修部分が多いため、最古の金剛力士像ともいえる。 現存する多くの金剛力士が、向かって右に阿形、左に吽形の配置だが、この金剛力士像は逆に配置される。
塑造(そぞう)とは
土や粘土を盛り上げて作る像で、仕上げの焼成は行わない。 日本では、奈良時代に流行し、木などで芯を作った上に粘土を盛り、へらなどで形作られた。 平安時代に入り、仏像の主流が木造になるとほとんど作られなくなる。 東大寺・法隆寺・当麻寺・新薬師寺のものが、国宝に指定されている。
この国宝を観るには
東大寺の法華堂に安置されているので、拝観時間内はいつでも観ることができる。 東大寺の広い境内は無料で入れるが、大仏殿・法華堂などは、それぞれに拝観料が必要となる。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-193
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00032-00
【種別】彫刻
【指定名称】乾漆金剛力士立像(法華堂安置)
【ふりがな】かんしつこんごうりきしりゅうぞう
【員数】2躯
【時代・年】奈良時代
【所有者】東大寺
【国宝指定日】1952.03.29