法隆寺上御堂のこと
法隆寺の中心的な伽藍「西院伽藍」の最北にある『大講堂』よりも、更に北の小高い位置に建つ御堂。 上御堂は、天武天皇の皇子「舎人親王」の創建と伝わるが、永祚元年(989年)に台風で倒壊したことが記録にあり、現在の堂はその後の鎌倉時代に再建されたもの。
国宝『釈迦如来・両脇侍坐像』
平安中期頃にサクラの一木造りで制作された釈迦三尊像で、表面は漆の上に金箔が貼られている。 像高は、中尊が230cm弱、脇侍は155cm前後で、三尊とも二重円光背がつく。 どっしりとした姿は平安時代らしいものだが、中尊の台座に裳がかかるなど、法隆寺の古い様式も取り入れられている。
脇侍は「文殊菩薩」と「普賢菩薩」だが、鳥獣座ではなく方形の須弥座に坐し、文殊菩薩は剣と経巻を、普賢菩薩は如意を手に持つ。
この国宝を観るには
通常は非公開で、毎年11/1~3の3日間だけご開帳される。 拝観には伽藍の入場が必要で、大講堂の奥にある扉が開けられ、上御堂に向かうことができる。 ご開帳は通常の伽藍拝観料のみで、特別な追加料金はかからない。
2021年は、聖徳太子1400年御聖諱関連事業として、4/1~9/30まで特別ご開帳
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-237
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00074-00
【種別】彫刻
【指定名称】木造釈迦如来及両脇侍坐像(上堂安置)
【ふりがな】もくぞうしゃかにょらいおよびりょうきょうじざぞう
【員数】3躯
【時代・年】平安時代
【所在地】法隆寺
【国宝指定日】1953.03.31
鑑賞ログ
2019年11月
年にたった3日間だけのご開帳ですが、ちょうど文化の日で3連休に重なったので、来られました。 ここは西円堂に近いあたりだと思いますが、大講堂の裏山のような場所で、おそらく普段は建物にも近づけないのでは? 上御堂の建物は重要文化財です。
階段を上がって驚いたのは、ご朱印に並ぶ人の列です。 ご朱印を書く場所は、お堂を入ってすぐの端っこなのですが、そこからご本尊の前をずっと横切るように人が並んでいます。 ご本尊の真ん前はあいていますが、すぐ後ろに人が並んでいるので、何となくせわしなく、少し下がって拝見することもできません。
像は、秘仏だからか金箔が非常に残っており、重々しい立派な姿です。 剣をかかげてと経巻を持つ文殊菩薩は、単尊の文殊菩薩のようで珍しいですね。 せっかくの拝観ですが、ご朱印の列に興ざめしてしまい、肝心の仏像やお堂のことはあまり印象にないという、ちょっと残念な参拝でした。