平等院のこと
宇治川の西岸にあった藤原道長の別荘を、道長の没後の永承7年(1052年)に長男頼道が寺に改めた。 この地は、更に古くは源融の別荘だったという。 頼道の頃に、現在も残る阿弥陀堂が建立され、その後も頼道の一族によって堂宇が整備されるが、後年たびたび戦火にあい大半が焼失している。 平成6年(1994年)に世界文化遺産に登録されている。
国宝『雲中供養菩薩像』
『阿弥陀堂(鳳凰堂)』は、仏師「定朝(じょうちょう)」作の『阿弥陀如来』を本尊とし、鳳凰堂や庭園なども「浄土」をイメージして作られている。 雲中供養菩薩は、鳳凰堂内部の長押(内部の高い位置に渡す横木)の上に、左右で26躯ずつの52躯が懸けられており、中尊の阿弥陀如来の来迎を表現している。
阿弥陀如来と同年の天喜元年(1053年)に、定朝工房で作られたもので、雲に乗って楽器を奏でたり踊るようなポーズをとるものもある。 ヒノキで作られ、当初は彩色や截金が施されており、鳳翔館では再現したものも展示されている。
古い時代に何点か流出しており、2008年に追加指定されたものや、文化庁が所有するものが確認されているが、当初何躯あったのかは判明していない。 明治30年代には、岡倉天心が設立に深くかかわった「日本美術院」で、大規模な解体修理がされている。
この国宝を観るには
現在は、鳳凰堂内部と宝物館の「鳳翔館」に半分の26躯ずつがあり、鳳凰堂では当時の姿で、鳳翔館では間近で観ることができる。
鳳凰堂の内部は拝観と別に入場券を買う必要があり、1度に入場できる人数が制限されるので、平等院に入ったらまず鳳凰堂の整理券を確認したい。 混雑時は1時間以上待つこともあるので、待ち時間の間に鳳翔館や庭園で過ごすとよい。
寺外での公開
2021/7/24~9/12 京都国立博物館「京の国宝」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-259
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00095-00
【種別】彫刻
【指定名称】木造雲中供養菩薩像(所在鳳凰堂)
【ふりがな】もくぞううんちゅうくようぼさつぞう
【員数】52躯
【時代・年】平安時代
【所有者】平等院
【国宝指定日】1955.06.22
【追加指定日】2008.07.20
鑑賞ログ
何度観ても、とても楽しそうでこちらも笑顔になるような菩薩たちです。 阿弥陀様が夢見るような表情なのに、雲中供養菩薩は人間ぽいゆるさがあります。 もう完全に笑顔になっている像もあって、即成院の来迎像の笑ってる像みたいです。
東京国立博物館には、古い時代に流出した僧形の1躯があるのですが、これがもう何とも美しくて、52+1躯の中で断トツ好きです。 これは夢見る感がすごくて、定朝阿弥陀に一番近いかもしれません。 時々東博で公開されます。