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国宝-工芸|刀(名物 稲葉江)[柏原美術館/山口]

国宝DB-刀剣

国宝『刀(名物 稲葉江)』

南北朝時代の越中(現在の富山県)の刀工「郷義弘(江義弘とも)」は、相模の刀工「正宗」の弟子で、正宗十哲にも数えられる。 古くから名物として珍重されるが、在銘のものはなく、本物と極められた刀剣も非常に少ないため、「郷とお化けは見たことがない」と、無いに等しい珍しいものの例えにされた。 名物「稲葉江」として、享保名物帳に記される。

茎に「所持稲葉勘右衛門尉」「天正十三十二月日江本阿弥磨上之(花押)」と金象嵌で銘が入る。 この稲葉勘右衛門尉とは、織田信長や豊臣秀吉に仕えた武将「稲葉重通」のことで、春日局の母方の伯父にあたる。 裏側の銘は、刀剣の鑑定を家業とする本阿弥家が、天正13年(1585年)に磨上(すりあげ)を行ったことが分かる。

後に徳川家康の所有になり、関ヶ原の合戦の時に北国を守備していた、家康の次男「結城秀康」に与えられる。 以降、結城秀康の松平家に戦後まで伝わり、一時期不明となるが、現在は岩国美術館に所蔵される。

岩国美術館チラシより

この国宝を観るには

所蔵する柏原美術館(旧:岩国美術館)で、ほぼ毎年公開される。

柏原美術館(旧:岩国美術館)

公開履歴

2024/4/20~5/26 柏原美術館「水心子秀世 和楽器 江戸の音色」
2024/1/6~2/11 刀剣博物館「正宗十哲-名刀匠正宗とその弟子たち
2023/10/6~12/3 柏原美術館「THE NETSUKE」
2023/7/21~8/27 柏原美術館「大和保昌」
2023/4/21~5/28 柏原美術館「来派」
2022/10/7~11/27 柏原美術館「CHOSHU and BIZEN」
2022/4/28~5/29 柏原美術館「樂焼展・江戸名工展」
2022/2/21〜3/31 柏原美術館「寅TORA虎」
2021/10/16~12/17 柏原美術館「THE KIYOMARO」
2021/7/24~8/22 京都国立博物館「京の国宝
2021/1/9~2/21 刀剣博物館「埋忠〈UMETADA〉桃山刀剣界の雄
2020/10/31~12/14 大阪歴史博物館「埋忠〈UMETADA〉桃山刀剣界の雄
2020/6/18~8/16 岩国美術館「幻の綾焼展」
2020/3/13~5/28 岩国美術館「花は桜木 人は武士
2020/1/2~1/31 岩国美術館「刀装具名品展」
2019/10/1~11/30 岩国美術館「名物 稲葉江展」

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-302
【指定番号】00016-00
【種別】工芸品
【指定名称】刀〈金象嵌銘天正十三十二月日江本阿彌磨上之(花押)/所持稲葉勘右衛門尉(名物稲葉江)〉
【ふりがな】かたな〈きんぞうがんめいてんしょうじゅうさんじゅうにがつひごうほんあみすりあげ(かおう)/しょじいなばかんうえもんのじょう(めいぶついなばごう)
【員数】1口
【時代・年】南北朝
【寸法・重量】刃長70.9cm、反り2.0cm、元幅2.9cm、先幅1.9cm、鋒長4.2cm
【品質・形状】鎬造、庵棟、身幅あり、重ね厚く、鋒延びた姿。鍛えは小板目肌よくつみ、地沸細かに厚く、刃文は小湾れに互の目交じり、足入り、匂深く小沸よくつき、所々に砂流しほつれごころあり
【作者】江
【画賛・銘等】指表に金象嵌で「所持稲葉勘右衛門尉」、裏に「天正十三十二月日江本阿弥磨上之(花押)」の銘がある。
【伝来・他】美濃国清水城主稲葉勘右ヱ門尉重通-徳川家康・・・津山・松平越後守宣富
【所有者】岩国美術館
【国宝指定日】1951.06.09
【説明】義弘は、相州正宗十哲の一人で、越中国松倉郷に住み、松倉郷あるいは江(郷の略字という)と呼ばれる。鍛えが細かにつんで精美であり、刃文は明るく冴える。他工に類を見ない特色ある作域と技量は、古来賞美され、かつその彫り物にも時代的特徴が認められる。『埋忠押形』、『享保名物帳』に所載。

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
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