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国宝-工芸|曜変天目茶碗(稲葉天目)[静嘉堂文庫/東京]

国宝DB-工芸

天目茶碗とは

「天目茶碗」は、鎌倉時代に禅の喫茶の文化とともに中国からもたらされた茶碗で、黒釉に漏斗のような形をして「天目台」と呼ばれる台に乗せる。 後には、黒釉以外で天目台がつくものや、天目台は付かず形も異なるが黒釉の焼物をそれぞれ「天目」と略称するするようになる。

曜変天目とは

黒釉の茶碗で、玉虫色に輝く斑紋が散らばり、角度や光のあたり方によって輝き方が変わる。 南宋時代の中国で焼かれた茶碗だが中国には残っておらず(破片は見つかっている)世界でも日本で国宝に指定される3椀しか現存しない。(MIHO MUSEUM所蔵の重要文化財は「曜変天目」か「油滴天目」かで意見が分かれる)

足利将軍家の東山御物で、織田信長に伝わり「天下第一の大名物」といわれた曜変天目茶碗があったが、本能寺の変で失われてしまった。

国宝『稲葉天目』

徳川将軍家の所有「柳営御物(りゅうえいごもつ・ぎょぶつ)」だったが、三代将軍家光の乳母「春日局」が病に伏せった時に、家光がこの椀で手ずから薬湯を飲ませたという。 その後は春日局の婚家である稲葉家に伝わるが、昭和初期に三菱財閥の岩崎家の所有となり、現在は岩崎家のコレクションが元となった静嘉堂文庫が所蔵している。

曜変天目3椀のうちで、斑紋が一番はっきりと華やかに出ている。 斑紋のまわりのぼかし部分が、白っぽい黄金色のように輝いている。 大きさは京都龍光院のものとほぼ同じ程度で、藤田美術館のものよりやや小ぶり。 現在の文化財保護法の元で、初回(1951年)に国宝指定されている。

国宝『稲葉天目』 静嘉堂文庫美術館チラシより

この国宝を観るには

静賀堂文庫が所有しており、同美術館の特別展に出展されることがある。 曜変天目3椀の中では鑑賞の機会が多い。

公開履歴

2024/1/2~2/3 静嘉堂文庫美術館「ハッピー龍イヤー!」
2023/10/7~12/27 静嘉堂文庫美術館「二つの頂-宋磁と清朝官窯-」
2023/8/11~9/24 静嘉堂文庫美術館「あの世の探検」
2023/6/17~7/30 静嘉堂文庫美術館「サムライのおしゃれ」
2023/4/8~6/4 静嘉堂文庫美術館「明治美術狂想曲」
2023/2/18~3/26 静嘉堂文庫美術館「お雛さま」
2023/1/2~2/4 静嘉堂文庫美術館「初春を祝う」
2022/10/1〜12/18 静嘉堂文庫美術館「響きあう名宝
2021/6/30~9/12 三菱1号館美術館「三菱の至宝
2021/4/10~6/13 静嘉堂文庫美術館「旅立ちの美術
2021/2/20~3/28 静嘉堂文庫美術館「岩﨑家のお雛さま」
2020/6/27~9/22 静嘉堂文庫美術館「美の競演-静嘉堂の名宝-」
2020/7/8~9/22 三菱1号館美術館「三菱の至宝展」※2021年に延期
2020/1/18~2020/3/15 3/1 静嘉堂文庫美術館「磁州窯と宋のやきもの
2019/11/2~12/15 静嘉堂文庫美術館「名物裂と古渡り更紗
2019/4/13~6/2 静嘉堂文庫美術館「日本刀の華 備前刀

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-303
【指定番号】00017
【種別】工芸品
【指定名称】曜変天目茶碗
【ふりがな】ようへんてんもくちゃわん
【員数】1口
【国】中国
【時代・年】南宋時代
【寸法・重量】高6.8cm、口径12.0cm、高台径3.8cm
【品質・形状】口部下に捻り返しのある建戔特有の碗形。総体に引き締まる。高台を浅く平らに削り、蛇の目状の高台に仕上げる。木地はきめが細かく堅く焼き締まり、露胎部は紫色を帯びた灰黒褐色で鈍い光沢がある。器の内面全体と外側腰まで黒釉が厚くかかるが、口縁釉は流下して薄くなり、見込みと裾には厚い釉溜まりが生じる。内部全面にまるい斑文が不規則に散る。
【伝来・他】稲葉家-小野家-岩崎家-静嘉堂
【所有者】静嘉堂文庫
【重文指定日】1941.07.03
【国宝指定日】1951.06.09
【説明】摂津淀の稲葉家に伝わったことから、一般に稲葉天目の名で知られる名碗である。 内部の斑文が青や黄色に輝き、漆黒の釉薬を絢爛たるものにしている。薄紫色の輪形に輝く部分があり、玄妙な趣がある。

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋

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