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国宝-工芸|楽焼白片身変茶碗「銘 不二山」光悦作[サンリツ服部美術館/長野]

国宝DB-工芸

本阿弥光悦 のこと

光悦の「本阿弥家」は、刀の鑑定や研磨を生業とする家だったが、光悦は刀にはあまり関わらず、書をはじめ陶芸や漆芸などの工芸品や茶の湯などで力量を発揮した。 書では「寛永の三筆」の1人にも数えられ、同時代に屏風や扇子などを製作する絵屋の「俵屋」を営んでいた宗達との合作も多い。 家康から金閣寺の北「鷹峰」に土地を拝領し、一族や職人などと芸術村のようなものを作った。 この跡地の一部は「光悦寺」となっており、拝観することもできる。

楽焼茶碗「不二山」の他に、蒔絵漆工の『舟橋蒔絵硯箱』が国宝に指定されており、部門の異なる作品で国宝に指定された作者は珍しい。

国宝『楽焼白片身変茶碗 銘 不二山』光悦作

光悦が、娘を嫁がせるときに婚家から懇望されて、自作の茶碗を娘の振袖にくるんで持たせたと伝わる茶碗。 「共箱」という、作者自身が銘を書いた箱も残っており、振袖の布と共に附として国宝に指定されている。 江戸末期に、京都の豪商だった比喜多権兵衛から、高原治兵衛と井上源三郎の2名に譲られた譲り状があり、その後は大名の酒井家の所有となった。 現在はサンリツ服部美術館の所蔵。

筒形の楽焼茶碗で、上部4割ほどが白く、残りは黒く変色しており、これが富士山が雪をかぶったところに似ているとして「不二山」の銘がついた。 また、振袖の逸話から「振袖茶碗」とも呼ばれている。 

この国宝を観るには

長野県の諏訪湖畔にあるサンリツ服部美術館の所蔵で、同館の展覧会に出展される場合がある。

公開履歴

2023/10/7~12/3 サンリツ服部美術館「描き継がれる日本の美 琳派」
2022/9/16~12/4 サンリツ服部美術館「名物展 記録と鑑賞」
2019/7/6~9/29 サンリツ服部美術館「茶人に愛された数々の名碗

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-362
【指定番号】00074-00
【種別】工芸品
【指定名称】楽焼白片身変茶碗〈銘不二山/光悦作〉
【ふりがな】らくやきしろかたみがわりちゃわん〈めいふじさん/こうえつさく〉
【員数】1口
【時代・年】江戸時代
【寸法・重量】高8.5cm、口径11.5cm
【品質・形状】素地は荒い砂まじりの白土、これに透明性低火度の白釉が厚くかかった楽焼きの茶碗。成形は手造りで、形は切立ち円筒形。
【画賛・銘等】伝来蓋(身はなし)に「不二山大虚庵」の光悦自筆銘および印がある。 本茶碗を包んで贈ったと伝えられる振袖片袖一枚(紫羽二重地松竹瀧人物金糸刺繡)および、天保九年比喜多権兵衛より高原治兵衛、井上源三郎両人に譲った時の譲り状ならびに證文各一通。
【附指定】共箱蓋1枚、袖裂1枚
【所有者】サンリツ服部美術館
【国宝指定日】1952.11.22
【説明】不二山は、光悦作の楽茶碗の中でも最も有名で、品格特に高く、光悦五種、七種、十種にはいづれもこれを挙げている。
光悦の娘が嫁ぐ際に、先方の懇望によって、本茶碗を振袖に包んで持参したと伝えられ、一名には振袖茶碗とも呼ばれている。また、光悦筆の共箱を伴うものは極めて稀である。天保九年に比喜多権兵衛から酒井雅楽頭忠学の蔵となり、同家に伝来した。光悦茶碗の代表作としてのみならず、和物茶碗中の白眉と称しても過言ではない名碗である。

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
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