国宝『黒韋威矢筈札胴丸(兜・大袖付)』
胴丸は、歩兵が着用した胴から腰を守る鎧で、動きやすいように腰から下の草摺(くさずり)が8枚に分かれる。 鎌倉時代後期頃から胴丸が主流になると、胴丸にも大袖と呼ばれる肩から肘を守る板状の防具と兜が付き、上級武士のものは装飾がされるようになる。
鎧の名前に見られる「〇〇威」は、色紐や紐状の革で小札をつなぎ合わせることで、複数の色を使い模様のようにすることもある。 「矢筈札」は、草摺部分などに使う小札が、矢の羽根の先にある弦をかける部分のように、二股になっている。 この胴丸は、矢筈札と黒漆を盛った小札を交互にし、黒い韋(革)でつなげて作られている。 楠木正成が奉納したと伝わる。
この国宝を観るには
春日大社の「国宝殿」は、年に3~4回の企画展を開いており、そこで公開されることがある。 博物館への貸し出しもある。
公開履歴
2025/7/5~9/7 春日大社 国宝殿「究極の国宝 大鎧」
2022/7/16~12/13 春日大社 国宝殿「春日大明神に祈る」
2021/9/4~10/17 春日大社 国宝殿「金工の美」
2020/7/14~9/23 春日大社 国宝殿「Enjoy 鎧 」
公開履歴
【台帳・管理ID】201-374
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00086-00
【種別】工芸品
【指定名称】黒韋威矢筈札胴丸〈兜、大袖付/〉
【ふりがな】くろかわおどしやはずざねどうまる〈かぶと、おおそでつき〉
【員数】1領
【時代・年】南北朝時代
【寸法・重量】胴高64.2cm、兜鉢高12.1cm、大袖長45.5cm
【品質・形状】革札盛上黒漆塗り。鉄札矢筈頭切付黒漆塗り一枚交じり。威毛黒韋毛引威。耳糸、畦目、白藍啄木。菱縫紅猿鞣。前立挙二段、後立挙三段、衝胴四段、草摺八間五段下がり、背中に総角付
【伝来・他】社伝 楠木正成奉納
【所有者】春日大社
【国宝指定日】1952.11.22
【説明】胴丸に兜と大袖を具足したのは、鎌倉末期頃からと推定される。南北朝時代以前の胴丸は大山祇神社に一領存するに過ぎない。随所に胴丸独特の古式が示され、鎌倉時代の様式が強く残り、室町時代に定型化する胴丸形式の前駆的な作といえる。