国宝『柏木兎螺鈿鞍』
螺鈿鞍(らでんくら)は、漆塗りの地に、夜光貝をはめ込んで模様を描き出す「螺鈿(らでん)」で細工をした馬にまたがるための馬具で、腰を下ろす部分の「居木(いぎ)」と、前後に立ち上がる「前輪(まえわ)」「後輪(しずわ)」で構成される。 平安末~鎌倉時代にこのような様式ができ、戦勝祈願などで神社に奉納されたものもあり、工芸品として評価の高い作品がいくつか現存している。 永青文庫の所蔵品ではもう1点『螺鈿時雨鞍』が国宝に指定されている。
この螺鈿鞍は、室町幕府第13代将軍の足利義輝から、細川藤孝(幽斎)が拝領したもので、細川家に伝来している。 前輪・後輪の表側に柏の枝にとまる木兎(みみずく)を、両輪の裏側と居木には柏の折枝を描いている。
この国宝を観るには
細川家の伝来品とコレクションが主体の「永青文庫」所蔵で、同館や熊本県立美術館で公開されることがあるほか、展覧会へ出展される場合もある。
公開履歴
2024/10/5~12/1 永青文庫「信長の手紙」
2021/8/24~9/20 永青文庫「美しき備え-大名細川家の武具・戦着-」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-434
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00139-00
【種別】工芸品
【指定名称】柏木兎螺鈿鞍
【ふりがな】かしわみみずくらでんくら
【員数】1背
【国】日本
【時代・年】平安時代
【寸法・重量】前輪高29.9cm、後輪高29.0cm、居木長41.8cm
【品質・形状】黒漆塗。両輪の表に柏に木菟の図、裏および居木に柏の折枝を螺鈿で表す。
【所有者】永青文庫
【重文指定日】1935.04.30
【国宝指定日】1954.03.20
【説明】意匠、技法共に卓越した鞍で、現存する螺鈿の鞍の中でも代表的な遺品。