国宝『金銅燈籠』
興福寺の南西にある「南円堂」の正面に据えられた、高さ236cmの金銅製の燈籠で、南円堂が建立された平安初期からの現存するはこの燈籠のみ。 灯をともす火袋の扉に「銅燈臺銘并序、弘仁七載歳次景申伊予権守正四位下藤原朝臣公等追遵先考之遺敬志造銅燈臺」と銘文が陽刻されており、弘仁7年(816年)に藤原氏の一門が寄進したことが判明している。 現存する燈籠では、東大寺大仏殿の正面に立つ国宝『八角燈籠』に次いで古く、現在は国宝館に収蔵されているが、南円堂前にはこの燈籠を模したレプリカが据えられている。
興福寺 南円堂のこと
この国宝を観るには
現在、灯籠は興福寺「国宝館」に収蔵されており、拝観時間内ならいつでも観ることができる。 南円堂前にはレプリカが置かれており、当時の雰囲気を味わうことができる。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-539
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00242-00
【種別】工芸品
【指定名称】金銅燈籠
【ふりがな】こんどうとうろう
【員数】1基
【国】日本
【時代・年】弘仁7年(816年)
【寸法・重量】総高236.0cm
【ト書】火袋羽目に「銅燈臺銘并序、弘仁七載歳次景申伊予権守正四位下藤原朝臣公等追遵先考之遺敬志造銅燈臺」云々の陽鋳銘がある
【所有者】興福寺
【重文指定日】1897.12.18
【国宝指定日】1964.05.26
【説明】本燈籠は、興福寺南円堂の正面に建てられていた。鋳銅の円形燈籠で、台・基礎・竿・中台・火袋・笠などを別鋳してつくり、火袋と中台には鍍金を施している。現存する四枚の羽目板に鋳出された銘文は橘逸勢(たちばなはやなり)の筆と伝えられ、端麗にして格調の高い書体が古来有名である。南円堂は藤原内麻呂の発願で建立にかかり、弘仁三年(八一二)その死により、子の冬嗣がうけついで竣成した。銘文にみられる藤原朝臣公等は、弘仁七年(八一六)正四位下であった冬嗣の兄真夏と推定されている。燈籠火袋の扉二枚と羽目一枚を古くから欠失し、宝珠も昭和二十五年盗難にあっている。しかしよく整ったその姿は端正な美しさをあらわし、火袋格狭間や基礎の獅子の装飾をはじめ中台の蓮弁の意匠など、全体の構成と調和した見事な鋳技をみせている。なお、現在この燈籠は興福寺の宝物収蔵庫に収められている。