金光明最勝王経とは
金光明最勝王経は、唐の僧「義浄」によって漢訳された経典で、更に古い時代には同じ原典を5世紀初頭に「曇無讖」が漢訳した「金光明経」なども伝来していた。 国を護る護国の経典として、奈良時代に重要とされた。
国宝『紫紙金字金光明最勝王経』
紫紙金字金光明最勝王経とは、「紫」色の「紙」に「金字」で書かれた「金光明最勝王経」で、聖武天皇の命により写経所で製作されたもの。
聖武天皇の詔には「金字」とあり紙色の指定はないが、当時は金字は紫色の紙に書くものだったという。 金粉を膠(にかわ)で溶いたもので写経し、乾いたら猪の牙で磨くと金字が輝く。 現在でも金が酸化等で変色する事もなく金色に輝いている。
四天王によって国が護られるという経典で、聖武天皇が各国に作った国分寺の塔に写経が安置された。 奈良国立博物館所蔵の本品は、備後国(現在の広島県尾道市・福山市近辺)の国分寺に納められていたもの。
この国宝を観るには
所蔵する奈良国立博物館で展示されることが多い。
公開履歴
2025/4/19~6/15 奈良国立博物館「超・国宝」
2024/10/12~11/4、11/26~12/15 東北歴史博物館「多賀城1300年」
2024/7/6~8/25 石川県立美術館「まるごと奈良博」
2023/4/15~6/11 東北歴史博物館「悠久の絆 奈良・東北のみほとけ展」
2023/4/22~6/4 奈良国立博物館「珠玉の仏教美術」
2023/2/4~3/19 奈良国立博物館「珠玉の仏教美術」
2022/12/10〜2023/1/22 奈良国立博物館「珠玉の仏教美術」
2022/10/11~11/28 大谷大学博物館「仏法東帰-大仏開眼へのみち-」
2021/10/8~11/23 岐阜市歴史博物館「波濤を越えて-鑑真和上と美濃の僧・栄叡」
2021/7/17~9/12 奈良国立博物館「奈良博三昧」2020/12/8~2/14 奈良国立博物館「珠玉の仏教美術」2021年に延期
2020/10/27~12/13 大阪市立美術館「天平礼賛」
2019/8/20~9/23 奈良国立博物館「珠玉の仏教美術(通常展)」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-643
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00109-00
【種別】書跡・典籍
【指定名称】紫紙金字金光明最勝王経
【ふりがな】ししきんじこんこうみょうさいしょうおうきょう
【員数】10巻
【国】日本
【時代・年】奈良時代
【所在地】奈良国立博物館
【国宝指定日】1952.03.29
鑑賞ログ
2019年2月
東京国立博物館「顔真卿展」
聖武天皇の勅で作られた写経、という事は1300年近く昔のものということだけど、まだ文字がキラキラ光っている。 ちょっと横の線を延ばすような書き方で端麗な文字が並んでいた。