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国宝-古文書|尺牘 久隔帖(伝最澄筆)[奈良国立博物館]

国宝DB-古文書

国宝『久隔帖』

天台宗の祖である伝教大師最澄が、現在の神護寺(当時は高雄山寺)の弘法大師空海の元に送った自身の弟子「泰範」に宛てて書いた書状で「尺牘(せきとく)」は漢文の書状のこと。 書状が「久隔清音」で始まるので「久隔帖」と呼ばれ、現在は掛け軸に仕立てられている。 

813年に書かれたもので、最澄はこの前年に高雄山寺で空海から「灌頂」という密教の儀式を受けており、更にこの年に釈理趣経の借用を求めたが、空海に断られている。 この書は空海からの書状にあった不明の書物の内容を泰範から聞いてほしいという内容。 泰範はその後最澄の元に戻らず空海の元で修行を続け、高野山の開山にも尽力し「十大弟子」にも数えられるようになった。

唐に留学した最澄は、日本に戻る時に唐の書家の筆跡を持ち帰っている。 誰に師事・私淑したかなどは不明だが、その書は「品格が高い」と評される。

国宝『久隔帖』 伝最澄筆
奈良国立博物館「奈良博三昧」の展示資料
国宝『久隔帖』 伝最澄筆

尺牘とは

「尺牘(せきとく)」は漢文で書かれた手紙のこと。 「牘」は木簡のことで「尺」のサイズの木簡に文字を書いて通信手段としていたため、木簡から紙になってもこの名前が残った。 尺素(せきそ)尺楮(せきちょ)とも呼ばれる。

この国宝を観るには

それほど機会が多くはないが、国立博物館の特別展などで公開される。

公開履歴

2024/5/14~6/9 奈良国立博物館「空海 KUKAI」
2022/11/14~12/4 延暦寺 霊宝殿「比叡の霊宝
2021/10/12~10/31 東京国立博物館「最澄と天台宗のすべて
2021/7/17~8/15 奈良国立博物館「奈良博三昧
2019/1/16~2/3 東京国立博物館「顔真卿-王義之を超えた名筆
2017/10/17~10/29 京都国立博物館「国宝」

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-784
【指定番号】00009-00
【種別】古文書
【指定名称】伝教大師筆尺牘〈弘仁四年十一月廿五日/〉
【ふりがな】でんきょうだいしひつせきとく
【員数】1幅
【国】日本
【時代・年】弘仁4年(813年)
【所在地】奈良国立博物館
【国宝指定日】1951.06.09

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋

鑑賞ログ

2019年2月

東京国立博物館「顔真卿展」
けっこう大型の立派な掛け軸になっています。 説明を読まないと室町~安土桃山あたりの禅のものに見えてしまいそう。 やや崩した字だけど墨の跡も均一で上品な書でした。

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